☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.757「その名にちなんで」★★★★★ 2007.12.25(火)
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【1】STORY
若くしてNYに移住してきたインド系夫婦だが、子どもは
現地で生まれ育ち、家族には2つの文化が同居してしまう。
【2】Michelin
日比谷シャンテシネでの単館上映。やや混み程度。
【3】Review
平凡な家族の物語だが、映像から想いが心に浸みてくる。
【4】Column
平凡な人生だからこそ、父親は家族に偉大なものを遺した。
_______________________________________________The Namesake
「モンスーン・ウェディング」のミラ・ナイール監督が、NYの
インド系移民を描くヒューマンストーリー。移民の子どもたちは
現地で育ってしまえば、まるでアメリカ人になってしまうはず。
いったいどんな決意をして、両親はここに移住したのでしょうか。
<オフィシャルサイト>
http://movies.foxjapan.com/sononani-chinande/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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若くしてNYに移住してきたインド系の夫婦。現地で生まれ育った
子どもたちはアメリカ流になり、母国の文化にあまり関心がない。
妻は母国への想いが尽きないが、夫は子どもたちに理解を示す。
やがて成長した子どもたちは、両親の想いに気がつきはじめる。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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日比谷シャンテ・シネでの単館上映です。
私は封切後2日目に行きましたが、7−8割の入りでした。
平日だと、半分くらいかもしれませんね。
サイトの混雑情報も、ご参考までに。
http://www.chantercine.com/schedule/
▼日比谷 シャンテ・シネ
11:30/14:10/16:50/19:30〜21:50(終)
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★★
<内訳>
テーマ :★★★★★
ストーリー :★★★
キャスト :★★★★
スタッフ :★★★★★
>テーマ ★★★★★<
平凡な物語のなかに、人生で大切なものを見いだそうとして、
悩み、手を結ぶ家族の姿が、じわじわと感動を呼び起こす傑作。
>ストーリー ★★★<
物語そのものは平凡で、まるで橋田壽賀子のような家族ドラマ。
展開は意外と早めなのだが、ちょっと終盤は引っ張りすぎか。
>キャスト ★★★★<
理解ある夫と、美人の妻、そして両親の想いにたどりつく息子、
誰もが悩みを抱えながらも生きている様子を、それぞれ好演。
>スタッフ ★★★★★<
この監督は、風景に人物たちの想いを託すのが非常に上手い。
多くの言葉を語ることなく、苦しみや幸せがスクリーンに満ちる。
>総評 ★★★★★<
なかなか感心しました。こんな映画もできるんだなと。
とてつもなく平凡な物語です。
まるでテレビドラマのような家族の話なのですが、
積み重なるエピソードに合わせた映像がとても深い。
喧噪ただようインドの下町、
一方で整然としたNYのアパート街、
歴史を感じるタージマハール、
華やかな結婚式、葬式、アメリカ人の別荘。
文化の違いだけではなく、そこに物語を当てはめ、
人物たちの想いをスクリーンに溶けこませるのが、
「モンスーン・ウェディング」と同じように、
ミラ・ナイール監督の卓越した手腕だと思います。
単なる海岸への散歩の場面でも、この映画では印象的。
全く平凡な物語が、家族ひとりひとりを描く深みになって、
平凡ななかに眠っている感動を、呼び起こしていきます。
ちょっと物語は引っ張りすぎですが、なかなかの傑作。
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┃4┃ Column (観おとわったあなたへ)
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幸せを願う多くの人々の想いとは裏腹に、
たったひとりにできることは限られている。
そのせいか、多くの人々の人生は、
他の人々のなかの雑踏の中で終わる。
そこにあるのは、大げさな奇跡もなければ、
悲惨なほどどん底でもない、ただ平凡な人生。
何もしなければ、何もしないままなのだ。
ゴーゴリの小説を読んでいた男は、一念発起し、
新しい外套を買うように、NYへの移住を決意する。
こんな雑踏の中で、自分としても終わりたくない。
できるなら、もっと大きなチャンスを、
自分の子どもたちには、託してあげたい。
男のアメリカンドリームに、女も賭けた。
移住先のNYは、身も心も凍てつくよう。
寒さと孤独に打ちひしがれながらも、
彼女は、大好きな母国を捨ててここで生きた。
果たして、子どもたちは自由に育った。
ガスが24時間つくのも、当たり前の世界に育った。
努力すれば出世できる、そんな世界に育ってきた。
いまや、彼らにとって母国は忌まわしくすらある。
故郷を愛する母親にとって、それは悲しみだった。
しかし、父は彼らを理解し、止めなかった。
あたかも、あらかじめ分かっていたかのように。
自由に生きられるのだから、自由に生きなさい。
父親は、人生で最高のプレゼントを子どもたちに遺した。
母国を捨てた妻は、最後まで彼を支えつづけた。
何よりも息子にとっては、超えられない父だった。
彼は、誰にも何も押しつけなかったのだ。
妻に本当の想いを尋ねたのは、ほんの一瞬だけ。
息子に自分の思いを託したのは、ひとつの名前だけ。
ゴーゴリ。人生は一度しかない。
ひとりの人間に出来ることは限られている。
どこで生きるにせよ、誰と家族になるにせよ、
思い切って、何でもやってみるといい。
それはキミの自由だ。
その偉大な贈り物を理解したとき、
息子は、その自由の価値にようやく気づくだろう。
2007/12/23 日比谷シャンテシネにて。
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┃6┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「ペルセポリス」…………………………………………
皆さんは、イランというとどんな国を思い浮かべるでしょうか。
この国の歴史は、最近でも本当に波瀾万丈。あちこちへと流れる
時代の流れに打ち勝とうと、必死で生きているイラン人女性が、
その半生をシュールなアニメに綴ったところ、カンヌで大絶賛。
で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://persepolis-movie.jp/
★今後の予定など………………………………………………………
来月は新作が少ないので、
「迷子の警察音楽隊」は来年の頭にします。
年内は次号でおしまいの予定です。
皆さま、よいお年をお迎えください。
で、その来月は以下のような予定。
何てったってティム・バートン監督が、
またもやジョニー・デップに刃物を持たせます。
この「スウィーニー・トッド」が最大の話題作でしょうね。
「迷子の警察音楽隊」http://www.maigo-band.jp/
「勇者たちの戦場」http://www.nikkatsu.com/yusha/
「ジェシー・ジェームズの暗殺」
http://wwws.warnerbros.co.jp/assassinationofjessejames/
「レンブラントの夜警」
http://eiga.com/official/nightwatching/
「シルク」http://www.silk-movie.com/
「スウィーニー・トッド」http://wwws.warnerbros.co.jp/sweeneytodd/
「28週後…」http://www.28weekslater.jp/
「人のセックスを笑うな」http://hitoseku.com/
「ヒトラーの贋札」http://www.nise-satsu.com/
「アメリカンギャングスター」http://americangangster.jp/
というわけで、これからもお楽しみに。
★最新情報はブログにて!!…………………………………………
ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/
※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!
ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。
また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!
★これまでのバックナンバー…………………………………………
バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。
http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)
メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.757 2007年12月25日
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