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★★★★☆「つぐない」
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 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2005年09月21日

メルマガVol.481「クレールの刺繍」★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.481「クレールの刺繍」★★      2005.9.21(水)
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  【1】STORY
   17歳で妊娠したクレールは、誰にも相談できないまま。
   体型を隠し、仕事も失うが、趣味の刺繍だけは続けていた。

  【2】Michelin
   渋谷ル・シネマでの単館上映。それなりに混雑してます。

  【3】Review
   物語がスロウスタートで、テーゼがはっきりしない。

  【4】Column
   長く紡いだ関係性は、その長さがしがらみに変わることも。

__________________________________________________Brodeuses

昨年のカンヌの批評家週間グランプリに輝いたフランス映画。
まあ、批評家週間グランプリって、当たりはずれがあります。
しようがないですよね、玄人が選ぶ映画賞なんですから。

<オフィシャルサイト>
http://www.cqn.co.jp/claire/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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17歳で不倫相手の子を妊娠したクレールは、途方に暮れていた。
ひとり暮らしで、親友とも逢えず、誰にも相談できない彼女は、
体型を隠し、仕事も失うが、趣味の刺繍だけは続けていた。
ある日、彼女は意を決してアトリエの門をたたくのだが…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷ル・シネマでの単館上映です。
「刺繍」という題材のせいか、けっこう女性陣が多く、
週末はそれなりの混雑になっているようです。
ここは定員入替制ですから、土日の時はお早めに受付へ。

▼渋谷 ル・シネマ 上映中
11:00/13:00/15:00/17:00/19:00〜終20:45


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★

<内訳>
テーマ   :★★★
ストーリー :★
キャスト  :★★
スタッフ  :★★

やっぱり、当たりはずれが大きいわけで。
この映画はどちらかというと、分かりづらいな…。

いちばんの問題は、物語のテーマが一向に見えてこない。
妊娠したクレールと、刺繍との関係がずっと出てこない。
原題だって「刺繍屋さんたち」なのだから、
刺繍が何を示すのか、ある程度は切り出した方がいいのに…。

この部分の間をつなぐべきなのは、
主人公が望まぬ妊娠という困難に直面して、
どのような想いを抱き、途方に暮れるのか、
という問題であるべきなのに、それが不明瞭。

最終的には、母と子の物語に還元されなければ、
この困難は解決されないわけで、
そこにクローズアップしていくエピソードが必要なのに、
最初から弟や親友、そして片想いとおぼしき相手と、
全然関係ない話題が続くので、観客は論点を見失う。

ただ、肝心の刺繍が始まるところからは、
それなりに物語としてのまとまりを見せていく。
息子を亡くした母親と、母親を信用できない娘の、
運命的な出逢いと、二人の間の葛藤が描かれて、
ようやくこの話のテーゼに観客も気がつくはずです。

とはいえ、それは終盤も押し迫ったところなので、
あまり深いエピソードまで描ききることはできず、
何となく予定調和なラストを迎えて物語は終わる。
まあ、映画としてはちょっと及第点に満たないな。

ただ、途中で出てくる刺繍細工はなかなかすごい。
ラクロワが欲した?だけのことはある。
取り出された瞬間、後ろのオバサマが、
「まあ、ステキ」と感嘆の声を上げたのには、
思わず舌打ちしてしまいましたが…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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人と人との関係性は、紡がれていくものである。
時間をかければかけるほど、それは刺繍の糸のように、
複雑に絡み合い、決してほどけぬデコレイションに変わる。

しかし、その複雑さが時として、
純粋で実直な人間の心にとっては、
「しがらみ」という言葉で表現されることも事実だ。

いままで紡がれてきた関係性のなかには、
良かった出来事もあれば、悪かった出来事もある。
同じ刺繍を紡いでいるのだとしても、
互いがかみ合わず、仲違いしてしまうこともある。

長い時間のなかで、クレールが見いだしたのは、
母親との関係性に対する素朴な疑問だった。
実生活でいつも汲々としている彼女は、
本当に、自分のことを見つめてくれているのだろうか。

純粋な心を持っているクレールは、
その答えを聞くのが怖くて、いつも心を閉ざしてしまう。
妊娠しているおなかを隠して、わざと厚着をしてしまう。
髪の毛は思いっきりパーマをかけて、本当の自分を隠してしまう。

募る不安から逃げだそうと、彼女は家を出たのだが。
それでも母親は、ぶっきらぼうに彼女に接し、
おびえる彼女の心を、いつも逆なでしてしまうのだ。

母親は自分が怯えていることに、全く気づいていない。
母親は自分が隠しているものに、何も気づいてはいないのだ。

長い時間が紡いだからこそ、
互いに芽生えた不信感はぬぐい去れない。
長い時間をかけたからこそ、
危機に瀕する関係性もあるものなのだ。

お互いが何も知らなければ、
芽生える愛情もあるはずなのに。
お互いがまっさらな生地ならば、
これから美しい刺繍を紡いでいけるのに。

ふとしたことからクレールは、
母親と同じ年代の刺繍屋の女性と刺繍を紡ぎ、
ようやくそのことに気がつくのだ。

誤って縫った刺繍は、取り払ってしまえばよい。
長いお互いのしがらみも、取り払ってしまえばよい。
刺繍はいつだって、ほどいてしまえば、
またまっさらな生地から始めることができる。

あとは刺繍を始めようという、意気込みだけだ。
長く紡いだ母親との過ちも、その意気込みさえあれば、
互いの信頼が見事に絡み合い、人生という、
美しいスカーフを織りなしていくことができるのだ。

2005/9/17 渋谷ル・シネマにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「NOTHING」………………………………………

「CUBE」「カンパニーマン」と、デビューから傑作を撮り続ける
天才監督、ヴィンチェンゾ・ナタリの新作はSF、何とコメディ。
自分以外の世の中全体が次第に消えていく、という仕掛けの妙が、
果たしてどれだけ物語として昇華しているかが、ポイントです。

次回もお楽しみに。次回は金曜になります。
http://www.klockworx.com/nothing/


★今後の予定など………………………………………………………

長くサボってしまい、かなり後が押してきましたが、
以下の作品は、意地でも全部見るつもりです。
だって、どれも落とせないんだもの。今後もお楽しみに!

・「SHINOBI」オダギリジョー、仲間由紀恵の忍者モノ
  http://www.shinobi-movie.com/
・「アバウトラブ」 「藍色夏恋」監督の新作を含むオムニバス
  http://www.aboutlove-movie.com/
・「四月の雪」説明するまでもないペの主演映画
  http://www.aprilsnow.jp/top.html
・「深紅」筆者も敬愛する野沢尚の遺作、本人の脚本で映画化
  http://www.shinku.jp/
・「ルパン」天下の怪盗小説を、母国フランスが映画化
  http://www.arsene-lupin.jp/


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

↓↓↓NewBlog↓↓↓
http://filmandlife.seesaa.net/

※ ケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.481 2005年9月21日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2005 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 21:48| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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