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 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
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  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2007年12月07日

メルマガVol.748「呉清源 極みの棋譜」★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.748「呉清源 極みの棋譜」★★★    2007.11.22(木)
 ̄                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   碁を究めるべく渡日した呉清源だが、次第に日中関係が悪化、
   彼は生きるべく帰化するが、やがて生き方に迷うようになる。

  【2】Michelin
   シネスイッチ銀座、新宿での2館上映。あまり混んではいない。

  【3】Review
   伝記というより、天才の孤独を次々と描く映像叙事詩。

  【4】Column
   国境を越え、天才を超え、その先に男が見た虚空の眺め。

______________________________________________The Go Master

「春の惑い」で筆者をうならせた田壮壮監督の新作は、何と、
中国から日本に渡った囲碁の名人、呉清源を描くという伝記物。
主演は台湾きっての若手、エドワード・ヤンから王家衛までが
起用してきたチャン・チェン。日本人俳優も多数出演の話題作。

<オフィシャルサイト>
http://www.go-movie.jp/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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碁を極めるべく渡日した呉清源だが、次第に日中関係が悪化し、
碁よりも、国籍の方が注目される日々が続く。戦争が始まる頃、
彼は生きるべく帰化を余儀なくされ、アイデンティティを失い、
やがて囲碁を捨て、真理探究のために宗教への道を選ぶが…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館での2館上映です。
基本的には、シネスイッチ銀座の方がスクリーンはいいはず。

あんまり混んでませんでしたが、
いちおう混雑情報は、サイトをご確認のほど。
http://www.cineswitch.com/konzatu/

▼銀座 シネスイッチ銀座
11:00/13:30/16:00/18:30〜20:30(終)

▼新宿 新宿武蔵野館
10:10/12:25/14:40/16:55/19:10〜21:10(終)


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

>テーマ ★★★★<
国籍を失った天才の、孤独な人生を徹底して描き出す流れは秀逸。
人間を超えた世界に到達しつつ、人とともに生きる矛盾を指し示す。

>ストーリー ★<
体裁は年代順に事件が流れる伝記だが、人生を描く物語とはせず、
印象的事件だけを抜き出しているので、展開は唐突で分かりづらい。

>キャスト ★★★★<
チャン・チェンは、日本語が話せないからか、ますます冷静で、
うちに秘めた熱い思いも感じさせる。日本のキャストも奮闘。

>スタッフ ★★★★<
今回も青白い灯りを多用しながら、天才の寒々とした心のうちを、
見事な映像で切り開き、さながら映像叙事詩を眺めている気分。

>総評 ★★★<
さすがは田壮壮監督、今回もある天才の心象風景を、
素晴らしい映像で表現し、印象的な場面を作っています。

一方で、この映画は天才の孤独を描く映画であり、
人生を描くわけでも、まして囲碁を教えることも、
全くありません。波瀾万丈の人生を解説したり、
彼の囲碁の凄さを知りたい人には、肩すかしでしょう。

特に、物語としての展開をほとんど無視しているので、
突然、宗教に入ったり、時間が流れたりしていて、
当時を知らない人間には、唐突さを感じることも多く。

ゆえに、まさに心象を描く映像叙事詩といった感じなのです。
前回の「春の惑い」でも、とにかくこの点は凄かった。
とはいえ、もう少し分かりやすさもあってもいいような…。


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┃4┃ Column (観おとわったあなたへ)
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昭和の棋聖、天才、呉清源。
もう、私には敵がいない。
そう感じたとき、彼は何を求めたのか。

碁盤の向こうには、人間がいる。
しかし碁盤の上には、誰もいない。
ただ、黒と白の石が、ある規則に沿って並んでいるだけ。

本来は、囲碁とは勝負である。
戦うべき相手は、碁盤の向こうの人間である。
これを徹底して研究し、競うことが勝負のはず。

ところが、呉清源はこれを相手にしない。
彼は、碁盤の向こうの人間など敵ではないのだ。
彼の相手は、碁盤の上に並ぶ石に隠れた法則。
「なぜ、こう並ぶのか」という真理だけである。

勝負師は、これを非難するだろう。
碁盤の上で戦い、碁盤の上で死ぬことが、
勝負師の本望というだろう。
それは、人と人との戦いの場だとして。

しかし、呉清源にとっては、そうではない。
彼にとって、碁盤は真理を表現する場なのだ。
そこにいるのは敵ではなく、隠された神の姿。
向かい合う人間は、実はともに真理を探究する友なのだ。

真理。彼が最後まで、追い求めたもの。
天才であるが故に、彼は碁盤の見方を変えた。
奇抜な打ち方ができたのも、そのためだ。

真理。彼はなぜ、真理を求めていたのか。
それは、天才である一方で彼は人間だった。
彼は囲碁のために、他の一切の人生を捨てた。
国籍を捨てた。アイデンティティを失った。

祖国のために戦えない絶望と。
祖国から、裏切りと呼ばれる絶望と。
2つの絶望に挟まれ、彼は苦しんだ。

なぜ、私がこんな人生を送ることになったのか。
それほどまでに、人々が求める碁とは何なのか。

それは、人と人とが戦う勝負の場である以上に、
彼にとっては、人生を賭ける価値のある、
貴重なものでなければ、ならなかったのだ。

宗教に救いを求めるときもあった。
妻に希望を見いだすときもあった。
時には、自殺を考えたこともあったという。

天才は孤独だった。人生では放浪者だった。
勝利に価値を見いだせない天才の孤独は、
いったい何によって、癒されるものなのだろう。

碁のために、すべてを捨てた呉清源。
その碁は、彼に救いを与えただろうか。
19本の線と線がぶつかる交差点に、
白と黒の石が規則正しく並び、表現される真理。

それは美しく、そして無限に繰り返される。
彼は、探求と発見を続けていくしかない。
そこに、人生を捨てるだけの、価値があったと信じて。

2007/11/21 シネスイッチ銀座にて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「マイティハート 愛と絆」……………………………

勘違いされていると思うのですが、アンジェリーナ・ジョリーは、
決してアクション女優ではなく、「17歳のカルテ」を演じて、
オスカーも持ってる演技派のお姉さんです。ウィンターボトム監督
なら、彼女の演技力も充分に引き出してくれる、かもしれない。

で、次回もお楽しみに。次回は来週火曜の予定。
http://www.mh-movie.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

来週のもう1本は、最近では「バッシング」が脚光を浴びた、
小林政広監督の「愛の予感」の予定。
日本映画として久しぶりにロカルノ映画祭グランプリを受賞。
主演は監督自身が演じ、ヒロインは「M/Other」の渡辺真起子。
http://ainoyokan.com/


さて、年内の予定は以下のとおり。

最大の注目はスサンネ・ビア監督の「ある愛の風景」。
これが3連続5つ星を賭けた、いちばんの期待作です。
http://aruai.com/

他は、ついに全編英語、原作物に挑戦する、
フランソワ・オゾンの「エンジェル」。
http://angel-movie.jp/
「モンスーン・ウェディング」のミラ・ナイール監督が、
アメリカを舞台にした家族ドラマ「その名にちなんで」。
http://movies.foxjapan.com/sononani-chinande/

昨年のベルリン金熊賞「サラエボの花」。
http://www.saraebono-hana.com/
そしてカンヌの審査員賞を受賞したフランスアニメ、
「ペルセポリス」など、いろいろ話題作がやってきます。
http://persepolis-movie.jp/

その他、以下のようなラインナップの予定。

「ベオウルフ」http://wwws.warnerbros.co.jp/beowulf/
「マリア」http://www.maryandjoseph.jp/
「アイアムレジェンド」http://www.iamlegend.jp/
「迷子の警察音楽隊」http://www.maigo-band.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.748 2007年11月22日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2007 Ak. All rights reserved.
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