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★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2005年09月09日

映画のなかの人生…Vol.477「メゾン・ド・ヒミコ」★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                  __________
  Vol.477「メゾン・ド・ヒミコ」★★★   2005.9.8(木)
 ̄                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   中小企業のOLが、ゲイの老人ホームでバイトを始める。
   しかしその館長は、死を間近にした彼女の父親だった。

  【2】Michelin
   渋谷シネマライズでの単館上映、今週末より拡大公開。

  【3】Review
   見せ場は多く、テンポも良いが、詰め込みすぎである。

  【4】Column
   自分らしくあることと、誰かとつながることの、両立。

________________________________________La maison de Himiko

「ジョゼと虎…」と同じ、犬童一心監督と渡辺あや脚本の作品。
しかし今回はオリジナルらしく、脚本家の腕の見せどころです。
柴咲コウ、オダギリジョー主演、舞踏家の田中泯が異色の出演者。

<オフィシャルサイト>
http://himiko-movie.com/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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中小企業のOLが、ゲイの老人ホームでのバイトをお願いされる。
彼女を捨てた父親が館長を務める場所を、彼女は拒んでいたが、
父が死を間近にしていることを知り、遺産につられて彼女は働く。
最初はゲイばかりの風景に、嫌悪感いっぱいだったのだが…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネマライズでの単館上映です。
今週末からは、新宿、池袋でも公開されます。
でもまあ、渋谷がいちばんまともなスクリーンでしょうね。

さて。この渋谷シネマライズ、
ぬわんと、全席指定制度始まっちゃいました!
ついに、というか、なんで、というか…。

これでスペイン坂の、あの行列風景はなくなるわけです。
もちろん、顧客サービスとしては当然だと思いますが、
開館以来20年、あの行列が何度も話題を作っていたのに、
それを無くすというのは、なかなか思い切ったもの、だなぁ。

まあ、いずれにせよ、これで並ばなくても済むのは朗報。
平日は満席ではないにせよ、7割程度の混雑で、
おそらく週末は30分以上前には来るべきでしょう。

とはいえ渋谷は暇つぶしがいくらでもある街。
さっさと受付だけ済ませておいて、食事や、
ショッピングをしてから映画する、のが正しいかも。
http://www.cinemarise.com/

▼渋谷 シネマライズ 上映中
10:55/13:40/16:25/19:10〜終21:35

▼新宿 新宿武蔵野館 9/10(土)より
10:45/13:20/15:55/18:30/21:05〜終23:25
※時間変更の可能性あり。

▼池袋 シネマサンシャイン 9/10(土)より
10:40/13:30/16:20/19:10〜終21:30 
※〈9/10オールナイト〉22:00/0:50


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

なかなか見応えがある映画だと思います。
たっぷり2時間超だし。
それでも、人を飽きさせない演出が光ります。

犬童一心という人は、深刻そうな話のなかにも、
うまくコミカルな部分をはさんで、テンポ良く魅せる。
「金髪の草原」以来、彼の映画を観ていますが、
きちんと強弱をつけてストーリーを展開するので、
最後まで飽きずに観られる点では、安心できます。

今回も「ジョゼと虎と魚たち」よろしくの下ネタや、
ダンスシーンなども取り混ぜ、話のテンポはいい。
あとは物語のテーマとドラマがすべてになる。

この部分が、ちょっと詰め込みすぎな気がします。
だいたい作家の2作目というのは、気合いが入ってしまい、
しかも今回はオリジナルな脚本を初めて書き下ろすので、
渡辺あやは、「これでもか!」とドラマを詰めたのでしょう。

ゲイが社会からつまはじきにされる様子と、
父と娘の壮絶な葛藤を描く部分、
さらにオダギリジョーと柴咲コウの関係性や、
それぞれが内面で持っている悩み…。

これらはどれも、1つで充分映画になったりしそうです。
ただ、残念ながらメインディッシュが次々来ると、
人は消化不良になってしまうので、全体がぼやけてしまう。
それぞれの料理はおいしく描かれますが、消化に手間取る。

その結果、2時間を超えても収まりきらず、
いちばんあおりを食っているのはラストシーンでしょう。
なんだか、このラストはとってつけたようで腑に落ちない。

たぶん、相当に内容を考えたのだと思いますが、
作り手のなかで、詰め込みまくってまとめられなくなった結果、
何となく、話の主題をうまく丸め込んでるような気がする。
和洋中、いろんなものを食べたら、デザートに何を出すのか、
すっかり迷ってしまうようなものだと思う。

でも、とにかく渡辺あやという脚本家が、
立派にオリジナルでもやれるのは、よく分かりました。
きっと、もう少し整理した次回作は、かなり良くなる。
そこに期待して、4つ星はまだつけられません。

ホントにノンケなのかと疑いたくなるオダギリジョー、
ずっとスッピンの柴咲コウ、どちらもなかなかでした。
ただ、柴咲コウの役は、美人女優がやる役ではない気も…。
だって、バニーガールだって似合ってたじゃないですか(笑)。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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人とつながっていることは難しい。
このご時世、産み落とされた時点で、
人は既に切り離された存在になってしまった。

親は親であることよりも、
自分らしさを選びはじめた。
すると、子どもも親を求めるよりも、
自分らしくあることを求められる。
だから「個性」と「ゆとり」が必要らしい。

この映画の父親は、まさに自分らしさを選んだ。
自分がゲイであることを選び、つながりを断った。
一方的に、つながりをたたれた娘もまた、
それ以来、父親を憎み、母親を哀れみ、
自分だけは、と自分らしく強く生きようと誓った。

そんな二人が再会する、ゲイだけの老人ホーム。
死を間近にした父親に、娘は同情の1つも見せない。
ゲイが集まる家の様子は、身の毛もよだつおぞましさだ。
ここは自分とは違う世界と、最初から切り離していた。

そう、自分らしさを追求する彼−女らは、
そうして、社会からつまはじきにあう人々だった。
彼らとともに暮らすうちに、娘もまた実感する。
家に落書きされ、外を好きな格好でも歩けず、
知人にはバカにされ、親戚には打ち明けられない人々。

考えてみれば、自分らしく生きたいと願うのは、
アタシだって、同じ生き方だったじゃないか。
そう思ったとき、彼女は激しく社会に憤る。
どうして自分らしく生きたい、というだけで、
社会から、つながりを断たれてしまうのか、と。

けれども、自分はその犠牲になったのでもある。
父親の「自分らしさ」と引き替えに、彼女は、
母子家庭に育ち、母親を失い、借金だけが残った。
自分らしさとは、もともとそういうものじゃないの?

自分の生き方を追求すればするほど、
遠ざかっていく、愛すべき人々との距離。
しかし、愛するために自らを犠牲にするなんて。
オダギリジョー曰く、バカバカしいのだ。
人は皆、自分の「欲望」に生きる生き物じゃない?
だって、愛はいつか、死を持って終わるのだから。

ゲイの老人ホームは、自分勝手な人々の集団なのか。
それとも、つまはじきにされた弱い者たちが、
人とのつながりを求めて集まった、海辺の果てか。

答えはすぐには出せないだろう。
しかし、問題のありかは見えてきた。
自分勝手に生きながら、愛を手に入れることは難しいのだ。
ゲイの世界とも、ノンケの世界とも、
微妙な距離を保ちながら、彼女は明日を生きるしかない。

2005/9/8 渋谷シネマライズにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「NANA」………………………………………………

驚くべき人気を誇る少女コミックを、大谷健太郎監督が映画化。
ついにメジャー、そして原作モノということで、プレッシャーも
大きいんじゃないかと思いますが、キャストは宮崎あおいと、
映画初主演の中島美嘉が、主題歌まで歌っているそうで。

で、次回もお楽しみに。
次回はすみませんが、事情により日曜になります。
http://www.nana-movie.com/


★今後の予定など………………………………………………………

来週以降は以下の予定です。
今月はけっこう注目作が続くので、期待しています!

><9月の掲載予定作品><
(9月10日〜)
・「チャーリーとチョコレート工場」デップ&バートンの話題作
  http://charlie-chocolate.warnerbros.jp/
・「せかいのおわり」「火星のカノン」の風間志織監督の新作
  http://www.suzufukudo.com/sekainoowari/
・「クレールの刺繍」カンヌの批評家週間グランプリ受賞作
  http://www.cqn.co.jp/claire/

(9月17日〜)
・「NOTHING」天才ヴィンチェンゾ・ナタリの新作はコメディ
  http://www.klockworx.com/nothing/
・「SHINOBI」オダギリジョー、仲間由紀恵の忍者モノ
  http://www.shinobi-movie.com/
・「アバウトラブ」 「藍色夏恋」監督の新作を含むオムニバス
  http://www.aboutlove-movie.com/

(9月24日〜)
・「四月の雪」説明するまでもないペの主演映画
  http://www.aprilsnow.jp/top.html
・「深紅」筆者も敬愛する野沢尚の遺作、本人の脚本で映画化
  http://www.shinku.jp/
・「ルパン」天下の怪盗小説を、母国フランスが映画化
  http://www.arsene-lupin.jp/


★連絡先は………………………………………………………………

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  匿名希望の方は、その旨をお書き添えください。よろしくです。

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上記のサイトからなら、かしこまったメールにすることなく、
一行だけでもコメントやリクエストを書き込めます。
また、筆者の近況や休刊情報もこちらです。適宜ご確認を。

【他の映画のバックナンバーを探したいな…】
ウェブサイト:http://www.lares.dti.ne.jp/~espoir/

上記のサイトをゼヒゼヒ!訪れてみてください。
これまでの映画タイトルが五十音順で並んでいます。
また、今後の掲載予定や筆者の近況なども、連載中。

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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.477 2005年9月8日
 発行者:Ak. espoir@lares.dti.ne.jp
 (C)2001-2005 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 00:04| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(4) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。コメント&TB失礼します。
たしかに柴咲のバニーガールは似合ってましたねw
本当に醜いなあと思う場面もあったのですが、
あの眼力にブスの役は厳しかったかも。
親となっても自分を選択するエゴに巻き込まれた沙織が、
彼らゲイに共感を覚えて自らの立ち位置を模索して、
傍観者として僕はまさしく答えが出なかったです。
どう生きようかな、とか考えちゃいました。
Posted by 現象 at 2005年09月09日 17:43
ええ、結局メイクしちゃうと、
化粧品のCMに出てた人に戻っちゃう…。

この映画は難しい問題に難しいまんま、
真正面からぶつかってるので、
答えは簡単には出ないですよね。

ちょっとずつ解きほぐしていって、
どこかに絞って、1本の映画にした方が、
でもまあ、一歩ずつ進んでるんだな、
みたいな結末に見えて、良かった気もする。
それが私の個人的な見解でした。

「ジョゼと虎と魚たち」では、
障害を持つ女の子が、
それでも愛された過去があった、
っていうそれだけで1歩進んだ。
そこがとても気持ちよかったんですけど。

たとえば、
オダギリジョーの「欲望なんだよぉ」という、
この路線を追求してもいいかな、とか。
それにしてもシネマライズ、確かに、
予告編の時のあの照明ときたら、明るすぎです。

Ak.
Posted by Ak. at 2005年09月09日 18:57
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