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 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2007年11月16日

メルマガVol.729「サルバドールの朝」★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                ____________
  Vol.729「サルバドールの朝」★★     2007.9.27(木)
 ̄                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   独裁政権下のスペインで、革命を目指す若い闘士たち。
   刑事と銃撃戦になった若者は、死刑を宣告される。

  【2】Michelin
   日比谷シャンテシネでの単館上映。やや混んでいるかも。

  【3】Review
   工夫が薄い。ただの革命青春映画+死刑囚映画の2本立て。

  【4】Column
   死刑は犯罪を本当に償うのか。それは社会が生み出したのに。

_____________________________________Salvador (Puig Antich)

「グッバイレーニン」で注目されたダニエル・ブリュールは、
ドイツを離れ、ヨーロッパを股にかける活躍をしていますが、
今回はスペイン人になってしまうらしい。何カ国語喋れるんだ?
題材は独裁政権時代のスペインにおける、革命をめぐる物語。

<オフィシャルサイト>
http://www.salvadornoasa.com/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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70年代、いまだ独裁政権が続くスペインで、革命を目指す学生。
銀行強盗で資金を調達し、武器とビラを手に入れていたのだが、
ついに逮捕され、その時の銃撃戦での警官殺害の罪で死刑になる。
不当な裁判に憤慨した人々は、何とかして彼を救おうとするが…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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日比谷シャンテ・シネでの単館上映です。
それなりに混んでいます。朝から4割くらいですから。
リアルタイムな状況は、映画館のサイトを参考までにどうぞ。
http://www.chantercine.com/schedule/

▼日比谷 シャンテ シネ
9:55/12:45/15:35/18:30〜21:00(終)


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★

<内訳>
テーマ   :★★
ストーリー :★
キャスト  :★★★
スタッフ  :★★

>テーマ ★★<
独裁政権に対する革命を描くのか、死刑制度の是非を描くのか、
それとも青春を描くのか、どの切り口から見ても中途半端。

>ストーリー ★<
前半の革命青春映画と、後半の死刑囚映画で、完全に2本立て。
前半は単純な強盗物語だし、後半もお涙頂戴の一辺倒である。

>キャスト ★★★<
ダニエル・ブリュールは、純朴な青年としては分かりやすい。
他に出てくる沢山の人物は、どれも紋切り型過ぎるのが残念。

>スタッフ ★★<
事実の映像化に精いっぱいなところがあり、何を映したいのか、
結局、最後までよく分からないままで、工夫が感じられない。

>総評 ★★<
スペイン版の「白バラの祈り」を目指したのでしょうが、
はっきり言って、比較するにはほど遠いレベルです。

「白バラ…」は、どこまでも純真な死刑囚の女と、
どこまでもナチに騙されてしまった取調官の間で、
対立軸がとても明白だったことが、ポイントでした。

その対立のなかで、独裁政権の矛盾が明らかになったり、
聖書の構図と重ねられ、人間の良心が問われたりして、
次々と突きつけてくるモノがあり、迫真の映画になったと言える。

ところが、この映画にはその「突きつけるモノ」がない。
前半で、死刑囚となった若者の半生を青春映画のように追い、
後半は、恩赦を待つだけの死刑囚の絶望を、お涙頂戴で描くだけ。
なんで看守が同情するのかも、かなりご都合主義のような…。

もっと、彼の死には重大な意味が込められているはずなのに、
それが、スペインの人にはともかくとして、
これでは、何も知らない諸外国の人には伝わらない。

何を語るか決めないで、事実に偏ってしまった、
典型的な伝記映画の失敗作だと思います。残念。

(参考)「白バラの祈り」
http://filmandlife.seesaa.net/article/12893863.html


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┃4┃ Column (観おとわったあなたへ)
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死刑に反対する人たちがいる。
死刑に賛成する人たちがいる。

賛成する人たちは、犯罪者たちの罪の重さを語るだろう。
他人をむげに殺したのなら、自分もそうなって然るべき。
悪党には報復が必要だと、訴えるだろう。

一方で反対する人たちは、死刑の重さを説くだろう。
その絶望、その恐怖、執行する者たちにかかる重圧。
こんな残酷な刑罰が、果たして本当に必要なのかと。

この映画では正直言って、死刑囚の実情はよく分からない。
彼がやってきた「活動」は、実際問題として犯罪行為で、
周囲を巻き込み、その上で大きな成果を上げたとも言えない。

どんな人物だったのか、強烈な思想があったのか、
「それでも殉教したくない」と述べるくだりを見ると、
やはり普通の若者だったのか、はっきりしない。

独裁政権がどれほど不当で弾圧的だったのかも、
彼の裁判がどれだけいい加減だったのかも、分からない。
けれども二審制だったり、死刑囚への待遇についても、
意外と寛大にさえ、見受けられてしまうのだ。

実際がどうなのかはよく分からないが、
死刑が決まれば、速やかに内閣がサインして、
24時間以内に執行される、という制度があったようだ。

そして、執行が行われる前には、
家族や、神父など、呼ぶべき人たちを呼んだり、
恩赦の可能性があったりと、配慮が図られている。
少なくとも、噂に伝え聞いている日本の制度より。

この映画で、より残酷に見えるのは、
処刑方法に関する描写だけである。
これはかなり前近代的で、さすがに身震いがする。
かといって、絞首刑が本当に速やかに死ねるのかは不明だが。

こうしてみると、日本の死刑はもっと残酷なのだろうか。
執行に関わる者たちに、より重圧を強いるのだろうか。
死刑囚の家族たちに、より無力感を与えるのだろうか。
そして、死刑囚本人の感じる絶望と恐怖は、より深いのか。

殺人者に対して、殺人で報復するという死刑。
殺した人の数に応じて、決められるという死刑。
被害者の遺族は、本当に加害者の死刑で気が晴れるのか。
悪党を世に放さないというのなら、他にも方法はないのか。
終身刑だと、生かしておくコストがかかるというのか。

しかし、凶悪な犯罪者を生み出したのは、
本当に本人だけの責任なのだろうか。
罪を犯さざるを得ない状況を作り出した社会の責任は?
それが、独裁政権のような事情でもないかぎり、
決して問われないことに、問題の本質はありそうだ。

2007/9/27 日比谷シャンテ・シネにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「さらば、ベルリン」……………………………………

明日は、実験映画を作るのが大好きなソダーバーグ監督の最新作。
今回は白黒映画にして、古い時代を舞台にしたサスペンスらしい。
盟友ジョージ・クルーニーの他、ケイト・ブランシェットなど、
キャストは相変わらず豪華なんですが、問題は実験の成果か。

で、次回もお楽しみに。次回は明日の予定。
http://www.saraba-berlin.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

来月以降は以下のような予定。ピアフの伝記映画は、
意外と評価が高いらしいんですが、本当はどうなんだろう。

「エディット・ピアフ 愛の讃歌」http://www.piaf.jp/
「クローズド・ノート」http://closed-note.com/
「パーフェクト・ストレンジャー」
http://www.movies.co.jp/perfectstranger/
「サウスバウンド」http://southbound-movie.com/
「ローグアサシン」http://www.rogue-assassin.com/

というわけで、これからもお楽しみに。


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