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★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2007年09月26日

メルマガVol.724「ミリキタニの猫」★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                 ___________
  Vol.724「ミリキタニの猫」★★★★    2007.9.14(金)
 ̄                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   NYで絵を描きつつ路上生活をする老人、ミリキタニ。
   映像作家が彼の過去をたどると、波乱の生涯があった。

  【2】Michelin
   渋谷ユーロスペースでの単館上映。週末は混むかも。

  【3】Review
   偏屈な老人が、やさしさに触れ、生まれ変わる姿に感動。

  【4】Column
   憎しみを道ばたに捨てていては、悲劇は重なるばかりだ。

_____________________________________The Cats of Mirikitani

ニューヨークの路上で、ひたすらに猫を描いている老人がいる。
彼は日系人だが、アメリカ政府に対する怒りで満ちあふれていた。
彼はいったい、何に怒り、どうして絵を描きつづけるのか。
国家と戦争の記憶を、老人の視点からたどるドキュメンタリー。

<オフィシャルサイト>
http://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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NYで猫の絵を描きつつ、路上生活をしている日系の偏屈な老人。
興味を持った映像作家が、彼を助けようと、9.11事件を契機に
自宅に招き、社会保障の道を探っていくと、第二次大戦中の
収容所生活と、アメリカへの憎しみとが、明らかになっていく。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷ユーロスペースでの単館上映です。
平日でも50名くらいは入っていたので、
週末は7−8割くらい、埋まってしまうかもしれません。

ここは定員入替制ですから、
いい席に座りたい方はお早めに受付を。

▼渋谷 ユーロスペース
11:10/13:10/15:10/17:10/19:10〜20:50(終)


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

>テーマ ★★★★★<
人種や民族に対する偏見と、憎しみが、どのようにして和解へと
いたるのか、道ばたの個人のエピソードから丹念に描かれる。

>ストーリー ★★★★<
ひとりの老人が放り込まれた、波瀾万丈の生涯が明らかになり、
それに連れて、彼が自分を取りもどしていく様子に引き込まれる。

>キャスト ★★★★<
主人公であるミリキタニ氏が、実に険しい表情をしていたのが、
次第に柔和になっていく様子に、感慨を抱かずにはいられない。

>スタッフ ★★★★<
取り巻く人々の優しさを、どのようにして老人が受け入れるか、
軸を絞って映し出したことで、逆に多くのことを考えさせる。

>総評 ★★★★<
なかなか興味深いドキュメンタリーでした。
ある路上生活者の生涯を追う、伝記物であり、
それを追うなかで、主人公が生まれ変わる人間ドラマであり、
戦争の悲劇と、和解を訴える社会派ドキュメントでもある。

1時間15分とコンパクトななかで、
老人がなぜ偏屈なのか、なぜ心を開くのか、
作り手が理解した過程を、観客も後追いしながら、
ラストシーンに至るので、最後まで惹かれてしまう。

当然、「シッコ」と較べる評論も多いでしょうが、
政府を相手にした大きなドキュメンタリーだけではなく、
小さな人間のドキュメントでも、充分に興味深いものだ、
と証明してくれた点が、いちばん大きな成果かも。


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┃4┃ Column (観おとわったあなたへ)
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いつだったか、「ホームレスは世間のクズだ」として、
よってたかって撲殺した少年たちのニュースがあった。

しかし、路上生活者には当然、そうなった理由がある。
自ら進んで、なりたくてそんな生活をする者はいない。
そこには、この社会が目をつぶってきた悲惨な事実があるのだ。

国は違えど、事情は同じであろう。
NYの路上で、ひたすらに絵を描いている老人。
日系人の彼は、つたない英語で偉大な画家だと主張する。
いくつもの深いシワが織りなす表情は、余りにも厳しい。

彼は、それでも、絵を売って生活をしているという。
ただで小銭や、ペンを受け取ったりすることはない。
言動は時に突発的で、怒りと憎しみに満ちている。
いったい何が、彼をこんな風にしてしまったのか。

何とかして、彼に社会保障を受けてもらおうとする作り手。
その時、老人の怒りは、アメリカに対するものだと分かる。
彼は、第二次大戦中に、強制収容所に送られたのだ。
彼は財産はおろか、家族も、仕事も、希望も失った。

アメリカに生まれ、育った他の誰もと同じように、
ひとりの市民として、絵描きになる夢を抱いていたのに。
敵国の人間だと言われ、市民権を奪われ、裁判権も奪われた。

結局、彼は料理人として人生の大半を生き、
そして誰もが、彼のことを省みなくなり、
やがて路上で生活し、限られたペンで絵を描いていた。

何の罪も犯していない。ただ日本人と言うだけで。
彼を突き放したアメリカと、アメリカ人を、
そして、何も償わない人間たちの冷酷さ、
その人間という存在そのものに、彼は怒っていた。

彼は、せっかく家に住まわせてもらっているのに、
「うどんを温めろ」「早く帰れ」「ビデオはサムライ」と、
そのワガママさは、まるで生まれながらの飼い猫だ。

しかし、作り手が根気よく彼に接し、
彼の人生を理解し、彼が望んでいる家族と、仕事と、
何よりもここで生きる権利が、認められていると、
彼に伝えてあげることで、その表情は変わっていく。

彼の手に、ペンではなく筆を握らせると、
何と、素晴らしい日本画を描いてみせることか。
路上生活者はゴミクズだと、いったい誰が言えるだろう。

人種や、生まれといった問題だけではなく、
格差や、不運や、さまざまな問題の結果として、
路上生活者は、路上で生活させられているのだ。

私たちが、いちばん目をつぶりたい事実が、きっとそこにはある。
アメリカは、きちんと戦争中の罪を認めて、
彼の市民権を保障することができる国だった。

私たちは、どうだろうか。
目をつぶってきた事実の結果を、
私たちは毎日の行き帰りの道ばたに見つけるのだ。

私たちは、彼らに赦しを乞えるだろうか。
彼らと真摯に向き合えば、賠償なんて請求しないだろう。
ミリキタニ氏も、最後にはうなずくように。
それも時代の運命で、いまや遠い過去の話だと。

2007/9/14 渋谷ユーロスペースにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「題名のない子守唄」……………………………………

「ニューシネマパラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督、
最新作は例によってサスペンス。今回はマレーナではなく、
イレーナが主人公。この女の目的が、今回は全く分からず、
最後までスクリーンから目が離せない、らしいのですが…。

で、次回もお楽しみに。次回は来週火曜の予定。
http://www.komoriuta-movie.com/


★今後の予定など………………………………………………………

あとは、破天荒で知られる三池崇史監督の、
本当に破天荒な、サムライによる西部劇?
「ジャンゴ」を観ようと思ってます。
それと、レニー・ゼルウィガーが伝記物に挑戦、
ピーターラビットの著者を演じる「ミス・ポター」の予定。
「ジャンゴ」http://django-movie.com/
「ミス・ポター」http://www.miss-potter.jp/

その翌週は、いまや気鋭の映画監督、荻上直子の新作、
「めがね」が登場。主演は前作に続いて小林聡美。
ここまで監督を押し上げた、もたいまさこって凄いなあ…。

「サルバドールの朝」http://www.salvadornoasa.com/
「めがね」http://www.megane-movie.com/
「さらば、ベルリン」http://www.saraba-berlin.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.724 2007年9月14日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2007 Ak. All rights reserved.
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