現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2007年09月25日

メルマガVol.723「サッドヴァケイション」★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.723「サッドヴァケイション」★★★★ 2007.9.12(水
 ̄                     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   養う家族を抱えつつ、田舎の裏稼業を転々としてきた男が、
   子どもの時、彼をおいて家を出た母親と、偶然に再会する。

  【2】Michelin
   渋谷シネマライズでの単館上映。そんなには混んでいない。

  【3】Review
   浅野忠信の良さと不気味さに迫る2時間余り。考えさせる。

  【4】Column
   正しさと孤独の間にいて、人は矛盾に満ちて誰かを愛する。

_______________________________________________Sad Vacation

何となく筆者が食わず嫌いをしてきた、青山真治監督の新作。
キャストは超豪華。浅野忠信、宮崎あおい、オダギリジョー、
さらに石田えり、板谷由夏、嶋田久作と、こんな競演はありか?
今回はちゃんと136分には収まり、浅野忠信は終始出ずっぱり。

<オフィシャルサイト>
http://www.sadvacation.jp/

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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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障害を持った妹や、不法流入の中国人少年を抱えつつ、北九州で
裏の稼業を転々として、生きてきた男。ある日、彼が子どもの頃、
家を出てしまった母親と偶然に再会する。何もなかったように、
彼を出迎える母に、男は復讐の念を抱きつつも、戸惑いを隠せない。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネマライズでの単館上映です。
週末から、新宿、東武練馬でも始まるようですが、
まあ、渋谷で観るのが一番ではないでしょうか。

シネマライズは、意外と知られていないようですが、
ぜひ2Fで観てほしいと思います。こっちの方が観やすい。
下は相当、見上げるかたちになってしまうので…。

▼渋谷 シネマライズ
10:40/13:30/16:20/19:10〜21:40(終)

▼新宿 新宿武蔵野館 9/15(土)〜
10:20/13:00/15:40/18:20/21:00〜23:25(終)

▼東武練馬 ワーナー・マイカル・シネマズ板橋
9/15(土)〜 時間は直接劇場へお問い合わせ下さい


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★★
スタッフ  :★★★★

>テーマ ★★★★<
良心を守りながら、生きていくことの難しさと、良心と関係なく
子どもを愛する母親の存在という、難解なテーマが考えさせる。

>ストーリー ★★★★<
長さは感じるが、物語の切替がやけに早く、意外と飽きさせない。
人物の心象を追っていく順番に筋道が通っている点が強みだろう。

>キャスト ★★★★★<
浅野忠信の良さと不気味さが、これだけ引き出された点では、
「地球で最後のふたり」を凌ぐ出来。共演者たちの存在が大きい。

>スタッフ ★★★★<
全体に深刻な話であるにも関わらず、暗く落ち込むこともなく、
時には笑いや、幸せな場面を交えて、日常性を忘れない点が良い。

>総評 ★★★★<
実は初めて、青山真治という監督の映画を観ましたが、
意外に面白かったし、内容的にもとても感心しました。
国際的に評価が高いのは知っていましたが、なるほど。

とりわけ、浅野忠信という人物像そのものを、
映画の中心に据えたような物語の展開が斬新。

豪華なキャストも、決してちょい役とはせず、
それぞれの役者の特徴、良さを引き出そうと、
セリフや演出が作られているのも面白い。

この監督はそうとう、人間観察能力に優れている。
その観察眼を物語にも活かし、数多くの登場人物が、
さまざまな生き方をしているなかで、
最善を模索しようとする姿勢にも、好感が持てます。
お見それしました。他の作品も観てみたい。


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┃4┃ Column (観おとわったあなたへ)
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浅野忠信とは、いったいどういう人物なのだろうか。

これまで多くの映画を観てきた私としては、
シリアスなところから、喰えないオッサンまで、
実に多彩な役どころがありつつ、あまり印象が残らない。

逆を言えば、何だか分からない男だから、
何でもできるのであって、重宝はしても、
その本質は、あまり理解されていない印象だった。

ところが今回、青山真治はたった一言で、
彼の根底にあるモノを見つけてしまっている。
オダギリジョーが、彼とすれ違いざまに語るように。
「アンタ、いい人だけど、いい人過ぎて不気味だ」

そういうオダギリは、この映画では本当に不気味である。
やけにロマンティックで、訳の分からないことを言うが、
一方で人間関係を諦め、現実から逃げてしまっている。
逃避して、自分の世界に閉じこもっている人間は不気味だ。

一方で浅野に惹かれる側の人間が、宮崎あおいである。
彼女は、現実のなかで懸命に生きようとしている。
若い女性が、細い腕でトラックの運送をしているのだから。

しかし、彼女は何も諦めていない。
万引きをする高校生がいたら、家族でも容赦はしない。
例え嫌われても、怖くても、他人にお節介を焼いている。
彼女は、正しい生き方がこの世にはあると、信じているから。

自分にカギをかけた、オダギリジョーの不気味さ。
自分を信じて小さくとも強く生きる、宮崎あおいの正しさ。
その2人が同居しているのが、浅野忠信の存在なのだろう。

だから彼は、いい人なんだけど、不気味だ。
正しさを信じているのに、あおいのように押しつけられない。
かといってオダギリのように、人間を諦めているわけでもない。

そして、運送屋のオジサンのように、
無条件に誰もかもを受け入れるほど、隣人愛に満ちてもいない。
しかし、彼と同じように、困っている人を放ってはおけない。

いろんな人物と対比して、浅野忠信の本質が見えてくる。
最大の難題は今回、母親の存在だ。
彼女は、完全に間違った生き方をしている。
都合が悪いと、他人を裏切りつづける身勝手さと。
一方で、息子を無条件に愛しつづける強さもある。

どちらが彼女の本質なのか。
浅野は、あおいや、オダギリらと向き合いながら、
自分の生き方を見きわめ、母親を裁こうと挑む。
ところが困ったことに、すると裁きは自らに下るのだ。

正しくない愛も、この世には存在するのだろうか。
それが母性愛であり、母親の強さと怖さなのだろうか。
息子を裏切りながらも、愛しつづける矛盾した正しさ。

そういう浅野忠信の役どころも、矛盾に満ちているように。
実は、多くの人間の持っている正しさや愛には、矛盾がある。
母親が遠く離れても、自分勝手に息子を愛するように、
他人を愛することは、いつもどこかに、矛盾があるのかもしれない。

2007/9/11 渋谷シネマライズにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「ミリキタニの猫」………………………………………

ニューヨークの路上で、ひたすらに猫を描いている老人がいる。
彼は日系人だが、アメリカも、あらゆる国家も信用しないという。
彼はいったい、何に怒り、どうして猫を描いているのだろうか。
国家と戦争の記憶を、老人の視点からたどるドキュメンタリー。

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.uplink.co.jp/thecatsofmirikitani/


★今後の予定など………………………………………………………

来週は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の、
「題名のない子守唄」が、いちばん面白そう。
またサスペンスなんですよね…きっと。
http://www.komoriuta-movie.com/

あとは、破天荒で知られる三池崇史監督の、
本当に破天荒な、サムライによる西部劇?
「ジャンゴ」を観ようと思ってます。
それと、レニー・ゼルウィガーが伝記物に挑戦、
ピーターラビットの著者を演じる「ミス・ポター」の予定。
「ジャンゴ」http://django-movie.com/
「ミス・ポター」http://www.miss-potter.jp/

その翌週は、いまや気鋭の映画監督、荻上直子の新作、
「めがね」が登場。主演は前作に続いて小林聡美。
ここまで監督を押し上げた、もたいまさこって凄いなあ…。

「サルバドールの朝」http://www.salvadornoasa.com/
「めがね」http://www.megane-movie.com/
「さらば、ベルリン」http://www.saraba-berlin.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.723 2007年9月12日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2007 Ak. All rights reserved.
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