現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2007年08月06日

メルマガVol.708「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_           _________________
  Vol.708「腑抜けども、
       悲しみの愛を見せろ」★★★★ 2007.7.27(金)
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  【1】STORY
   両親を亡くした兄妹の家に、東京から長女が戻ってくる。
   妹は怯え、兄もうろたえる、長女の身勝手ぶりとは…。

  【2】Michelin
   渋谷シネマライズでの単館上映。すでに混んではいない。

  【3】Review
   軽妙なギャグとともに、「狂気」の誕生過程を解き明かす。

  【4】Column
   社会を揺るがす狂気の原点は、競争社会の底辺にある。

_________________________FUNUKE Show Some Love, YOU Losers!

本谷有希子原作の戯曲を映画化した、家族をめぐる問題作。
流行りのコミック原作ものではなかったのですね、すみません。
佐藤江梨子が恐ろしく自意識過剰な姉を熱演して話題ですが、
他の脇役も、そのリアリティの怖さも、どれも凄いんだなあ。

<オフィシャルサイト>
http://www.funuke.com/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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両親を事故でなくした兄妹の家に、東京から長女が戻ってきた。
途端に妹は怯え、兄はうろたえ、兄嫁だけが天真爛漫に振る舞う。
案の定、帰って来るなり、長女は妹を執拗にイジメはじめる。
その背景には、女優を目指す彼女の強烈なコンプレクスがあった。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネマライズでの単館上映です。
封切りからだいぶ経ってしまったので、
もうそんなに混んでいませんでした。

個人的には2階席の方が、
見上げにならないので見やすいと思います。全席指定。

▼渋谷 シネマライズ
10:00/12:30/15:00/17:30/20:00〜22:10(終)
※ 全席指定/8.4(土)〜英語字幕付き


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★★

>テーマ ★★★★★<
最近の法廷をにぎわせる「狂気」の始まりを、社会の底辺から、
家族にスポットを当て、じっくりと追っていく様子が興味深い。

>ストーリー ★★★★<
いろんな伏線を緻密に張りつつ、金と暴力とセックスを織り交ぜ、
最後にはそれぞれの本性が明らかになっていく物語展開は巧妙。

>キャスト ★★★★<
主演のサトエリに注目が集まるが、妹役の佐津川愛美もいいし、
永瀬正敏、永作博美の永・永ペアもそれぞれに個性を持っている。

>スタッフ ★★★★★<
この暗い物語を、軽妙なギャグで喝破しながら、破天荒な展開と、
平和な農村風景のミスマッチを軸にした演出が、生き生きしている。

>総評 ★★★★<
凄い映画だと思う。吉田大八監督はこれが長編デビュー?
CM畑出身なのに、これだけ物語が作れるというのは驚きだ。

個性的で、破滅的なキャラクタたちが、みな生き生きとして、
農村を舞台としたコミカルな展開のなかで、
絶望的な家族劇を展開するというアイディアが素晴らしい。

まず、キャラを活かそうというコンセプトがよく分かるし、
その構図の先には、現在の社会が抱えている「狂気」が、
生まれてくる図式が透けて見える、というテーマも良い。

あとは最後のオチの付け方が、単なる姉妹ゲンカではなく、
もう少し説明的でも、この構図を印象づけても良かったか。
華麗なる復讐劇より、もっと狂気が進行しても良かったような。
最後がもう少し凄ければ、5をつける価値があったのだが…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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刑事裁判のニュースを聴いていると、時々耳を疑う。
「ドラえもんが助けてくれる」「僕は王子だから大丈夫」

何を言っているのか、よく分からない。
そこには、犯人にありがちな「身の上」なんて存在しない。
これでは、火曜サスペンス劇場も終わるわけである。

この狂気は、いったい、どこからやってくるのだろう。
そういう物語が、そろそろあるべきだと思っていた。
それがこの映画だった。佐藤江梨子演じる狂気だった。

何の変哲もない、日本の農村。
ケータイすら通じないド田舎に、
物語は狂気の始まりを見いだす。

そこは、イマ流に言えば「格差の底辺」だ。
物言わぬ村人たちは皆、世間から切り離されている。
こんなところにいたら、人生は終わってしまう。
こんなところからは、一刻も早く抜け出さなくては!

小さい頃からテレビを観ていた少女は、
高校卒業を前に、とかく焦燥感に駆られる。
「何ができるか」「何をしたいか」より前に、
現状批判と、都会志向だけが広がってしまう。

あの、テレビのなかの世界に飛び込みたい。
世間の構造さえ知らない少女は、とにかくそこへ、
難しいステップは抜きで、飛び込もうとする。

甘やかされた少女は、
そこに苦労が必要だと思っていない。
そして甘やかされた少女は、
一方で、愛を感じる瞬間もない。

希望が、何でも叶う時代だからこそ、
逆に、両親からの愛を感じられない矛盾。
だから彼女は世間をナメてかかり、
希望は何でも叶うと思う。
一方で、彼女は家族を信じることなく、
愛されていない自信のなさが、現状批判に拍車をかける。

格差が生み出す「バラ色の世界」と、
そこに、ずっとたどり着けない焦燥感。
何の苦労も知らない、戦後3世代目の子どもたちは、
もはや苦労も知らなければ、平凡さも受け入れられない、
トンでもない化け物になりはてる可能性が、極めて高い。

それは、ものすごく滑稽な生き物だ。
ブラウン管のなかに手を伸ばせば、
そこに映った甘い生活が味わえると思っている。
いつまでも現実が見えない様子は、まるでアニメの主人公だ。

「お姉ちゃんは最高に面白い!」
法廷の犯罪者たちも、いまや「面白い」状態だ。
これでは被害者の方々の悲しみは、如何ばかりだろう。

しかし、兄も、妹も、兄嫁も、面白い彼女を止められない。
彼女の狂気は面白く、そして何より「かわいそう」なのだ。
恐ろしい狂気をうちに秘めて、今日も少女は都会へと向かう。

2007/7/27 渋谷シネマライズにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「レミーのおいしいレストラン」………………………

ディズニーと合併後、ピクサーが初めて製作した映画が公開に。
その主役がネズミ、ってのは特に意味はないと思います、ええ。
今回は、そのネズミがおいしいレストランを創りあげてしまう、
というピクサーらしいファンタジー。この手の話は十八番でしょう。

で、次回もお楽しみに。次回は来週火曜の予定。
http://remy.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

いよいよ8月がやってきますが、
いまのところ、注目しているのは以下のとおり。

大作は「トランスフォーマー」ですね。またもパニック映画。
ピクサー映画や、行定勲監督、ジャ・ジャンクー監督など、
それなりに気になる映画が、小粒に集まっている感覚。
てゆうか「ラッシュアワー」って、まだやる気だったんだ…。

「リトルチルドレン」http://www.little-children.net/
「天然コケッコー」http://tenkoke.com/
「河童のクゥと夏休み」http://www.kappa-coo.com/
「トランスフォーマー」http://www.transformers-movie.jp/
「長江哀歌(エレジー)」http://www.bitters.co.jp/choukou/
「遠くの空に消えた」http://to-ku.gyao.jp/
「ベクシル 2077日本鎖国」http://www.vexille.jp/
「ラッシュアワー3」http://rh3.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ2年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.708 2007年7月27日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2007 Ak. All rights reserved.
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