現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年09月14日

メルマガVol.605「弓」★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.605「弓」★★★★          2006.9.13(水)
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  【1】STORY
   洋上の釣り船で育った少女。老人は少女と結婚しようと、
   彼女を大切にし、いっさい船から連れ出さなかった。

  【2】Michelin
   渋谷ル・シネマでの単館上映。そんなに混んでません。

  【3】Review
   発想がシンプルすぎたかも。映像美、演技力は圧巻。

  【4】Column
   いつか別れるのに、どうして人は誰かを愛するのだろう。

____________________________________________________The bow

「サマリア」「うつせみ」と、韓国映画の枠を遥かに超越し、
傑作を撮りつづけているキム・ギドク監督の新作が再び登場。
今回は「春夏秋冬…」と同じく水上を舞台に、ともに暮らす
少女と老人の揺れ続ける想いを、切実に描くシリアス劇。

<オフィシャルサイト>
http://yumi-movie.net/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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洋上の釣り船で育てられた少女は、船から一歩も出たことがない。
老人は、彼女を大切に育てつつ、いつか結婚しようと決めていた。
彼女も幸せに暮らしていたが、ある日、若い釣り人が現れて、
少女は初めて恋心を抱き、老人は嫉妬し、二人はこじれていく。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷ル・シネマでの単館上映です。

とんでもなく混んでいるかと思えば、そうでもなく…。
でもまあ、レディースデーの水曜や、週末は混むのかも。
いちおう、以下のサイトをご参考までに。
http://www.bunkamura.co.jp/shokai/cinema/time/

▼渋谷 ル・シネマ
10:50/12:50/14:50/16:50/19:00〜終20:45


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★
キャスト  :★★★★★
スタッフ  :★★★★

この映画は、きっと「サマリア」の続きなんですね。
いままでのモチーフの総決算だった、かの作品で、
最後に語られていた「親子の情」が今回のテーマのはず。

「うつせみ」でも感じていたのですが、
キム・ギドク監督は、集大成である「サマリア」のあと、
自分の考えていることを、もう一度解きほぐして、
それぞれのテーマを、再構築しているように思えます。

そこで、ひとつの作品ではテーマをひとつに絞り、
丹念に、しかしシンプルで真っ直ぐに捉えなおす。
どうしても、作り手は何もかも盛り込みたくなるのですが、
そんな欲望を抑え、簡潔に、90分で寓話を仕立てる作業。

敬虔なクリスチャンでもあるキム・ギドクは、
イエス自身が語っていた「たとえ話」の大切さを、
自らの映画製作でも、実践しているのかもしれません。

また、この映画は彼の12番目の作品ということで、
大切な数(=12)だからか、最後のコメントでも、
だいぶ力が入っているんじゃないか、そう思えました。

しかし、今回はちょっとシンプルにしすぎたかな?
舞台の洋上に、人物は二人しかいない。
しかもセリフがない。訪れるのは釣り人だけ。

これだけだと、2時間はもちろんとして、
90分の話をどうやってつなぐんだろう?
心配していましたが、やっぱり難しい気がしました。
物語はあまり抑揚がなく、関係の破綻も予想どおり。

最後は何だか、かなり唐突な展開にも驚きました。
でもまあ、最後の展開がないと物語に普遍性がなくなる。
うーん、もう少し分かりやすくてもいい気がしましたが。
そのあたりのテーマに関するコメントは、コラムに譲ります。

というわけで、全体としてのバランスや物語性では、
「うつせみ」の方が良かったし、面白かったと思います。

しかし、洋上の美しい光景に、弓の奏でる音楽を重ねて、
空と海と美しい女性が織りなすスクリーンの色彩は鮮やか。
そのなかで、時には愛しあい、時には怒り、時には嫉妬し、
喜怒哀楽がハッキリと現れる男女の様子が、心に痛く響きます。

この映像美と美しい音楽、繊細な心理描写に関する部分では、
「春夏秋冬…」をさらに越え、もはや圧倒されるばかり。
それだけでも、見る価値は十二分にある映画だと思います。
他の映画からはやはりぬきんでていますが、あと、ちょっと。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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娘を持った父親の心境は、複雑だとよく言われる。
父親は娘となると、時には溺愛することがあり、
その娘を嫁に出すとなると、時には激昂したりするようだ。

この映画でも、老人は少女を溺愛している。
しかも、老人が実の父親ではないことが、
より事態を複雑にして、ねじれたものにしている。

老人は、ゆくゆくはこの少女と結婚するつもりなのだ。
着々と、婚礼道具を買いそろえては、
「その日」を指折り数えて待つ老人。
ここまでくると、溺愛ももはや異様だ。

少女は、船の上に囲い込まれ、何も知らない。
何も知らないからこそ、少女は現在に満足し、
育ての親を愛し、盲目なままに従ってきたのだ。

釣り客が手を出そうとすれば、
老人の怒りは、弓となって矢を放つ。
誰もいない黄昏時、海の上で、
老人の愛は、弓となって音楽を奏でる。

老人の弓は、少女を外界から断ちきり、守ってきた。
老人の愛を、少女が信じているかぎり、
その弓が彼女を傷つけることは、決してなかった。

しかし、変化はどんな世界にも待ち受けている。
釣り客が来る以上、この船にも出逢いがある。
そして少女は、出逢ってしまったのだ。
いままでの暮らし、それ以上の可能性が外にはあることに。

老人の弓は、嫉妬に怒り狂い、標的は定まらない。
老人の弓は、もはや決して彼女を守らない。

彼女を失いかけたとき、老人は気づいてしまったのだ。
その弓が守ってきたのは、少女ではなかった。
その弓が守ってきたのは、むしろ自分自身だったと。

彼は、自らの夢と理想を守るために弓を引いていた。
何という身勝手で、愚かな生き方だったろう。
その夢の中から、少女は飛び出していってしまった。
いつか、彼女が出て行くことも、彼は分かっていたはずなのに。

分かっていても、離れられない男の想い。
少女が出て行ってから、この物語は幻に変わる。
うつせみとなった老人と少女が、互いの絆を確かめる。

それは、親と娘の関係だけではなく。
どんなに愛しあう二人にも、いつかは別れるときが来る。
愛する人を、自分の船にいつまでも引き留められない。
どんな弓で、どんな音楽を奏でて、どんなに守り抜こうとも。
最後まで愛し合えるのは、心の中でのつながりだけなのだ。

2006/9/12 渋谷ル・シネマにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「LOFT」………………………………………………

「回路」「アカルイミライ」「ドッペルゲンガー」などに続く、
黒沢清監督の新作は、やはりホラー仕立て。主演は中谷美紀。
そして連ドラが好評の西島秀俊ほか、今回もまた豪華メンバー。
新作はヴェネツィアでも上映されてましたが、内容はどうかな?

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.loft-movie.com/


★今後の予定など………………………………………………………

さて、今月は何故か恋愛映画が目白押しになってます。
来週は、ローラ・リニーの恋愛映画と、
柳楽優弥少年に沢尻エリカが競演する恋愛映画。
「ルイーズに訪れた恋は…」http://www.louise.jp/
「シュガー&スパイス 風味絶佳」http://sugarandspice.jp/

でもいちばん面白そうなのは、オダギリジョー主演、
訳の分からないタイトルがついている謎の映画、
「パビリオン山椒魚」だと思いますが、どうでしょうか。
http://www.pavillion.jp/

それ以降のラインナップは、以下のような予定。
なぜかサスペンスが3つもあるのは何故だ。

「薬指の標本」http://www.kusuriyubi-movie.com/
「記憶の棘」http://www.kiokunotoge.jp/
「奇跡の朝」http://www.longride.jp/kiseki/
「フラガール」http://www.hula-girl.jp/
「ストロベリーショートケイクス」
http://www.strawberryshortcakes.net/

というわけで、今後ともお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.605 2006年9月13日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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真・映画日記(1)『弓』
Excerpt: 9月9日(土) (昨日からのつづき) 午前5時半頃、クラブ「QUE」を出て、 「ロンドン・タイムス」のスタッフや客達と打ち上げへ。 ところが、いつも使っている「ぶー・ふー・うー」が入れない..
Weblog: CHEAP THRILL
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