現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年09月01日

メルマガVol.600「楽日」★★★☆

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.600「楽日」★★★☆         2006.9.1(月)
 ̄             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   古くさい映画館で、リバイバル上映が始まる。客はまばら、
   途中で出入りする人も多く、静かな異空間が幕を開ける。

  【2】Michelin
   渋谷ユーロスペースでの単館上映。がら空きです。

  【3】Review
   映画を、映画館というさらに外側から観た視点が秀逸。

  【4】Column
   映画には、観客がいて、そして想い出に残りつづける。

_____________________________________________________不散

「Hole」「ふたつの時、ふたりの時間」などで、ベルリン、
カンヌ、ヴェネツィアなどでは常連の監督、ツァイ・ミンリャン。
彼の新作は、閉館される大きな映画館を舞台にした物語らしい。
相変わらず、怠惰と叙情の中間を行くような映像美の世界では。

<オフィシャルサイト>
http://www.tml-movie.jp/rakubi/


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    ☆ ★ ☆  祝!600号!! ★ ☆ ★

あー。ついにここまで来てしまいましたね…。
ちなみに、本誌創刊前のコラム集と合わせると、
これまでの掲載本数は合計で、846本になりました。

目標の1000本まで、あと154本。
たぶん来年中には、確実に達成できそうですね。
1999年に始めてから、足かけ7年か…長い!

こんな筆者を激励したいという希有な方は、
以下のブログ記事まで、コメントください。
匿名で「がんばれ!」の1行でもアリです。
http://filmandlife.seesaa.jp/

今後ともどうぞごひいきに。

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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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古くさい映画館で、昔の名作映画がリバイバル上映されている。
広い館内には客もまばらで、脚を投げ出し、タバコを吸ったり、
トイレに立ったりと、まるで誰もが映画を観ていないようだった。
誰も一言も発しない静けさの中で、古い音響だけが鳴り響く…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷ユーロスペースでの単館上映です。
そんなに、いや、全く混んでいません。
映画の日の本日さえ、20人も入ってないんですから…。

ここは単館ですが、新築ですから、
スクリーンも大きくて、内部はキレイです。
ミニシアターはちょっと…、という方もお気軽に。

▼渋谷 ユーロスペース 上映中
11:20/13:15/15:10/17:05/19:00〜終20:40


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★☆

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★★

また、セリフのない映画に当たってしまいました。
全くないわけではありませんが、本当に静かだったな…。

しかし、今回はそこに理由があります。
この映画は、「映画館」という体験について語る映画です。
映画館にいる以上、基本的には誰もおしゃべりしません。
だから、セリフがないというのは、きわめて当然のことです。

そして映画館には映画があり、観客がいます。
映画はとても古く、誰も興味がないかのようです。
観客は、むしろお菓子やタバコに夢中になっています。

主人公らしき青年は、観客の勝手な振る舞いを気にしつつ、
自分でもタバコの火を求めて、人々の間を転々とします。
もはや、冒頭シーンのように、観客がいっぱいに埋まって、
誰もがスクリーンに釘付けだった時代は、遥か昔のことです。

こうして本作は、映画がもともと持っているという、
「個人的体験」と「集団的体験」という相反する二面性を、
矛盾と皮肉を込めて、あぶり出していきます。

そもそも、映画は一人で楽しむものです。
友だちと来ようと、恋人と来ようと、
映画館に来たら、途中でおしゃべりはできません。
映画館にいる間は、映画はあくまで個人的な体験です。
タバコやお菓子といった嗜好品のように、一人で楽しむもの。

しかし、一人の楽しみであるはずの映画は、
映画館という大きな箱の中で、集団で体験するものでもある。
映画館にいる以上は、誰も他のことをしたりはしません。
暗闇の中で、誰もがスクリーンに目をこらす集団的体験。

何故でしょうか、一人の個人的な体験であるはずの映画は、
実は、この後者の「集団的体験」を通してでないと、
自分のなかに、どうにもストンと落ちてこないものがある。
そんな不思議な感覚をもたらすのが、昔の映画館でした。

そんな体験が、もはや不可能になりつつある。
そういう哀愁を、この映画は物静かに描ききります。
90分弱の全編が、映画館の静寂に包まれながら、
映画館という装置が持っていた魔法について、解き明かす。

そこには、スクリーンに釘付けの観客はいない。
ひとりひとりの楽しみは、お菓子やタバコに変わっている。
「誰も映画を観なくなりました」映画館は消えようとしている。
ビデオやDVDが普及し、シネコンが乱立する昨今では、
昔ながらの映画館の、映画的体験は歴史に変わろうとしている。

毎年100本以上、映画館に通っている人間からすると、
この映画の持っている哀愁、その感覚はよく分かります。
「Hole」は筆者にとって、よく分からない映画でしたが、
同じように静寂と「のぞき見」がコンセプトのままでも、
今回は映画を観る者として、本作の持っている哀しみが分かる。

あまりの静けさに、眠い人は眠ってしまうでしょうが、
映画を愛する人なら、この映画の良さは分かると思います。
個人的な気持ちを込めて、☆1つを足しましょう。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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800回も映画館に行けば、印象的な客もいるものだ。
映画よりも、彼らの方が記憶に刻まれることもある。

先日も、子ども2人の家族連れが後ろの座席に座った。
厚化粧の母親は、前の席に足をかけ、途中でケータイを鳴らし、
しかも電話に出るわ、メールは打つわ、トンでもなかった。
途中で子どもに物語を解説し、マナーや常識のかけらもない。

我々はともかく、不幸なのは彼らの子どもたちだ。
子どもは親を選べない。非常識な親の子どもは非常識になる。
親子が平気で殺し合う昨今だが、そこにも理由がありそうだ。
悲しいことだが、人々の常識は壊れはじめている。

こんな家族は、ぜひ自宅で映画を楽しんで欲しい、と切に願う。
画質の高いDVDも、安価なホームシアターも揃う時代だ。
わざわざ遠い映画館で、高いカネを払ってどうするのだ。
2時間も自由を奪われて、じっとしていることができるのか。

自分さえ楽しければいい時代に、映画館はそぐわないのか。
映画の途中でも、何度もメールをチェックしたいヤツがいる。
隣の女と、平気でおしゃべりを続けるスカした兄ちゃんもいる。
ずっとポテトチップを食べ続ける、最悪にケバいオバチャン。
前席にいた青年が、ついに頭に来て口頭で注意したら、
このオバチャンは、何と彼の耳元でボリボリと食べ始めた!

それでも、私は映画館へと足を運ぶ。
私が自宅で映画を観ることは、年に数回しかない。
本誌に掲載してきた600本は、すべて映画館で観たものだ。

なぜなら、映画館には、映画館だけの空気があるからだ。
映画に感動が訪れると、ともに泣ける雰囲気があるからだ。
映画に緊張が走ると、ともに食い入る視線を感じるからだ。
映画が笑いを醸し出すと、ともに笑える心地よさがあるからだ。

そこでは、知らない誰かと話すわけではない。
自分が楽しんでいる映画を、退屈に感じる人もいるだろう。
その逆もあるだろうし、ひとりひとりの感想はそれぞれだ。

でも、誰もが一緒に映画を観ている。
そこに、何かを見つけようとしている。
その空気こそが、映画には最高の隠し味なのだ。

もちろん、自宅で観るDVDもいいだろう。
退屈な場面を、早送りできないもどかしさはない。
恋人と突っ込みながら観ると、違う楽しさもあろう。
夕食の準備をしながら、BGMにもできるだろう。

しかし、それと同じ楽しみ方を映画館ではしないで欲しい。
そんなことをしたら、映画館という隠し味は消えてしまう。
そして映画館そのものが、いつかなくなってしまうかも。

たった二人、最後に残ったスタッフが映画館を閉める。
互いに違う場所で働き、違うことを考えながらも、
お互いが、実はお互いを思いやってすれ違う場所。
そんな映画館の灯を、これからも消したくはない。

2006/9/1 渋谷ユーロスペースにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「40歳の童貞男」………………………………………

下ネタ満載のアメリカンコメディは、日本では敬遠されがち。
でも、これはこれでバカバカしくて、面白い時もあるわけです。
しかし今回は、タイトルからして、随分あからさまな内容…。
40歳でもまだ…そうですか…さて、どこまで笑えることやら。

で、次回もお楽しみに。次回は月曜の予定。
http://www.eiga.com/official/40DT/


★今後の予定など………………………………………………………

さて、9月は以下のようなラインナップの予定です。
再び、毎週3本の勢いで注目作が公開されそうです…。

いちばん不気味なのは、「グエムル 漢江の怪物」でしょう。
「殺人の追憶」の監督が、怪獣映画を撮りました。
文章に、つじつまが合っていないのではありません。
事実に、つじつまが合っていないのです。本当かよ、おい?

そして何より、キム・ギドクの新作「弓」があります。
きっと「サマリア」「うつせみ」と素晴らしい映画を続け、
絶好調の監督ですが、今回の評価はどうなるでしょうか。

その他、9月は何故か恋愛映画が目白押しになってます。
イタリア映画もそうだし、ローラ・リニーも恋愛映画、
ニコール・キッドマンも恋愛サスペンス、はたまた、
柳楽優弥少年までが、ラブストーリーに出るんですか…。

ま、秋だから、ってことなんでしょうかね(?)。
というわけで、これからもお楽しみに。

><9月掲載予定のラインナップ><

「グエムル 漢江の怪物」http://www.guemuru.com/
「トリノ、24時からの恋人たち」
http://www.crest-inter.co.jp/torino24/index.html

「弓」http://yumi-movie.net/
「LOFT」http://www.loft-movie.com/
「アガサクリスティーの奥さまは名探偵」http://www.okutan.jp/

「ルイーズに訪れた恋は…」http://www.louise.jp/
「シュガー&スパイス 風味絶佳」http://sugarandspice.jp/
「パビリオン山椒魚」http://www.pavillion.jp/

「薬指の標本」http://www.kusuriyubi-movie.com/
「記憶の棘」http://www.kiokunotoge.jp/
「奇跡の朝」http://www.longride.jp/kiseki/
「フラガール」http://www.hula-girl.jp/


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.600 2006年9月1日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
posted by Ak. at 17:44| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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