現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年08月28日

メルマガVol.599「DOGORA」★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_              ______________
  Vol.599「DOGORA」★★       2006.8.28(月)
 ̄               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   カンボジアに生きる人々の、日常を撮り連ねる映像詩。
   全編を通じ、壮大なオーケストラが鳴り響いていく。

  【2】Michelin
   恵比寿・写真美術館での単館上映。月曜はお休みです。

  【3】Review
   物語を自分で見つけながら楽しむ映画。普通に観るとつらい。

  【4】Column
   ひとつひとつの日常に、映画にはならない物語が潜む。

_____________________________________________________Dogora

何の映画なのか、タイトルだけでは分からないフランス映画。
カンボジアを舞台に、壮大な音楽を背景においた荘厳な映像詩。
監督は何とノンフィクションは当然初めてのパトリス・ルコント。
「こういう映画が撮りたかった!」というけど…本当かな?

<オフィシャルサイト>
http://www.albatros-film.com/movie/dogora.html


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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カンボジアに生きる人々の、平凡な日常を撮り連ねる映像詩。
人間を詰め込んだバイクやトラック、ボートの上での生活、
すべて人海戦術の農業、ゴミ拾いにくたびれた人々などが映る。
これらの映像全編を通じて、壮大なオーケストラが鳴り響く。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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東京都写真美術館ホールでの単館上映です。
まあ、内容的に考えても、お客が入るものではありません。
ただし、ここは月曜お休みですから、お間違えなく。

ちなみに、筆者はここの地下のラーメン屋に良く行きます。
「満龍」は札幌ラーメンらしい、ラーメンが食べられます。
さすがサッポロビールの地元、というわけで…。

▼恵比寿 東京都写真美術館ホール 8/26(土)より
11:00/12:50/14:40/16:30/18:40 
※月曜休館 ※9/2は16:30→16:50に変更


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★

<内訳>
テーマ   :★
ストーリー :
キャスト  :★★★
スタッフ  :★★★

これは、眠いですね…。
人間は、暑いところから寒いところに移ると、
体温が下がって、非常に眠くなってくるんですね。
そこにクラシック音楽がかかると、それはもうてきめんに…。

恵比寿の真ん中で、まばらな観客の半分が寝ている、
という不思議な状況の1時間半、非常に奇妙でした。
おそらく、ルコントの名前だけで来てしまったのでしょう、
途中で帰ってしまったようなお客さんも、けっこうアリで。

でも、この映画は、確かに実験映画の類ですが、
まあ、意図は分からなくもないと思って観ていました。
ルコントが、映画からセリフや演技を省いてしまいたい、
と思ったのは、映像の力を見せつけたかったからでしょう。

それは、役者でも脚本家でもない、
監督である自分自身の総力が問われる映画になる。
そう思って、ルコントは自分の実力を図ろうとした、
のかもしれませんが、残念ながら実際には、
映画から物語や演技をはぎ取ると、後には何も残らない…。

映像の方を省略した、トリアーの「ドッグヴィル」は、
住宅や内装、森の木々などの、リアリティある造形を、
観客が自ら、あれこれと想像しながら補うことによって、
それでも易々と映画になりうることを、証明したのですが。

困ったことに、物語や演技が省かれると、
それを観客が補うのは容易ではないんですね。
「この映像には、きっとこんな物語がありそうだ…」とか、
「この人は、こんなことを考えているに違いない…」とか。
そんな風に想像することって、非常に骨が折れるし、大変です。

だから、ルコントの意図とは、おそらく正反対に、
この映画は、映画に於ける物語の価値をむしろ強調してしまう。
考えてみれば、同じドキュメンタリーとは行っても、
「WATARIDORI」には、鳥たちの移動という物語、
「皇帝ペンギン」には、冬を越していくという物語があり、
それに較べても、今回のルコントの映像は断片的すぎる。

まるで、旅行先で目についたものを、
とりあえずビデオに撮った観光客のように、
断片ばかりで、全体を通すテーマが探しづらい。
しかも、ワンパターンな人間の映像が多すぎて、
さすがに最後の方では、筆者だって飽きてきました。

とはいえ上述のように、そこに「物語」を我々が見つければ、
それなりに楽しめないことはない、そういうことだと思います。
そう言う楽しみ方だと割り切れば、それなりの発見がある。
でもフツー、映画にそんなことは期待しませんよね…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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すべての人生は、映画となるに値する。
そう思って、本誌のタイトルはつけている。
頂点に立ち、栄光を仰いだ人ばかりではなく、
市井の人々の生活もまた、映画に値する重みがある、と。

しかし実際のところ、そうした映画を撮るのは難しい。
この映画の意図は、その部分にも焦点を当てているだろう。
普段は映画にならないものを、映像として描き出す。
それが、この映画のもう1つの目的だとも、思える。

かつてフランスが支配していた国、カンボジア。
農業の機械化も進まず、手で稲を刈っている国である。
自動車の普及も進まず、バイクやトラックに人々が、
鈴なりになって、移動手段を確保している国である。

ここはあまり、映画界では日の当たらない国である。
そんな国の、さらにありふれた人々のなかへと、
映像は、埋没した空間へと、深く入りこんでいく。

川辺に暮らす人々は、水面からギリギリで生活している。
商売もなく、仕事もなく、道ばたで呆然とする人々。
それでも、愛らしい子どもたちのまなざしがそこにある。

彼らのなかには、埋め立て地でゴミ拾いをする者もいる。
夜にわざわざ収集車を待ち、ハエとともにゴミに群がる。
それは壮絶な光景であるが、彼らは顔色1つ変えない。

そんな世界でも、子どもたちの表情は輝いていて、
イタズラ好きで、さんざん騒いで、眠ってしまう。
貧困と喧噪、絶望と希望が入り交じっている、この世界。

果たして、彼らはどこに向かっていくのだろう。
ところが、この映画にはその答えがない。
この映画には、そういう物語がないからだ。

この映画は、彼らの行方を知らない。
この映画は、彼らの表情の意味を知らない。
この映画は、いままで映画が撮ってこなかった、
そんな物語がまだまだあると示すだけで、その物語自体を撮らない。

深い事実を指摘しているようで、表面をなぞっている。
やはり、日常にあるひとつひとつの人生を、
実際の映画にするのは、興行的にも技術的にも困難だ。

しかし確かに、それでも波瀾万丈の人生が誰にでも、
そこら中にはあって、そして陽の光が当たる時を待っている。
それを描くのは、やはり物語を書く者としての使命だと思うのだ。

2006/8/26 東京都写真美術館ホールにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「楽日」……………………………………………………

「Hole」「ふたつの時、ふたりの時間」などで、ベルリン、
カンヌ、ヴェネツィアなどでは常連の監督、ツァイ・ミンリャン。
彼の新作は、閉館される大きな映画館を舞台にした物語らしい。
相変わらず、怠惰と叙情の中間を行くような映像美の世界では。

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.tml-movie.jp/rakubi/


★今後の予定など………………………………………………………

さて、来月は以下のようなラインナップの予定です。
再び、毎週3本の勢いで注目作が公開されそうです…。

いちばん不気味なのは、「グエムル 漢江の怪物」でしょう。
「殺人の追憶」の監督が、怪獣映画を撮りました。
文章に、つじつまが合っていないのではありません。
事実に、つじつまが合っていないのです。本当かよ、おい?

そして何より、キム・ギドクの新作「弓」があります。
きっと「サマリア」「うつせみ」と素晴らしい映画を続け、
絶好調の監督ですが、今回の評価はどうなるでしょうか。

その他、9月は何故か恋愛映画が目白押しになってます。
イタリア映画もそうだし、ローラ・リニーも恋愛映画、
ニコール・キッドマンも恋愛サスペンス、はたまた、
柳楽優弥少年までが、ラブストーリーに出るんですか…。

ま、秋だから、ってことなんでしょうかね(?)。
というわけで、これからもお楽しみに。

><9月掲載予定のラインナップ><

「グエムル 漢江の怪物」http://www.guemuru.com/
「40歳の童貞男」http://www.eiga.com/official/40DT/
「トリノ、24時からの恋人たち」
http://www.crest-inter.co.jp/torino24/index.html

「弓」http://yumi-movie.net/
「LOFT」http://www.loft-movie.com/
「アガサクリスティーの奥さまは名探偵」http://www.okutan.jp/

「ルイーズに訪れた恋は…」http://www.louise.jp/
「シュガー&スパイス 風味絶佳」http://sugarandspice.jp/
「パビリオン山椒魚」http://www.pavillion.jp/

「薬指の標本」http://www.kusuriyubi-movie.com/
「記憶の棘」http://www.kiokunotoge.jp/
「奇跡の朝」http://www.longride.jp/kiseki/
「フラガール」http://www.hula-girl.jp/


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.599 2006年8月28日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 16:12| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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