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  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年08月25日

メルマガVol.598「紙屋悦子の青春」★★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


_                  __________
  Vol.598「紙屋悦子の青春」★★★★★   2006.8.25(金)
 ̄                   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   九州の老夫婦が、かつて二人が出逢った桜の季節を想う。
   戦時下の窮屈な生活でも、彼らは前向きに生き抜いていた。

  【2】Michelin
   岩波ホールでの単館上映。いまのところ、毎回が満席!

  【3】Review
   戦時下の日常をコミカルに描き、逆説的に悲しみを訴える。

  【4】Column
   戦争は突然やってこない。それはじわじわと奪っていく。

___________________________________かみやえつこのせいしゅん

「父と暮せば」も記憶に新しい日本の巨匠、黒木和雄監督の遺作。
今回も奥ゆかしい女性の生き様と、戦争の苦しみを重ね合わせ、
見事な人間ドラマに仕立てあげました。主演の原田知世ほか、
永瀬正敏、小林薫、本上まなみなど、キャスティングも渋め。

<オフィシャルサイト>
http://www.pal-ep.com/kamietsu/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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九州の老夫婦が、かつて二人が出逢った桜の季節を思い浮かべる。
配給制の窮屈な暮らしの中でも、悦子の一家は食べ物に感動し、
幸せな想い出とともに生きていた。ある日、悦子が密かに想いを
寄せていた戦闘機乗りの明石が、悦子に縁談を持ってくるという。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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岩波ホールでの単館上映です。

とても混んでいます。
いまのところ、平日でも常に満席のようです。
きっと最終回の方が空いてるんじゃないかな…。

30分以上前に来ないと、きっと席を選ぶことは出来ません。
週末の場合は、おそらくもっと前に来るべきでしょう。
ただし、平日の場合は15分前くらいまでなら、
意外と、ほどよいあたりに座れると思います。

なぜならここは、スクリーンが皆さんの予想より小さい!
だから前から3−4列目あたりが観やすいわけですが、
そんな前寄りは、最後まで埋まらないことが多いわけで。

これから日が経てば、次第に空いてくるとは思いますが、
来月からは上映回数も減りますから、困ったものです。
しかし岩波はいつでもロングラン、この映画も11月まで、
確実にやっているようですから、急がなくてもいいのかも。

▼神保町 岩波ホール 上映中
〜9/1 11:00/13:40/16:20/18:50〜終20:45 
9/2〜 土日11:30/14:30/17:30〜終19:25 
   平日11:30/14:30/18:30〜終20:25


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★★
キャスト  :★★★★★
スタッフ  :★★★★★

文句なし。素晴らしい映画だと思います。
久方ぶりに、映画に感動して泣きました。

冒頭の10分にわたる、老夫婦のモノローグのような会話は、
最初から退屈してしまいますが、後から考えれば重要です。
この二人は最後までともに暮らしたという、
結末を分かった上で、物語を眺めることができるからです。

この映画では、前バラシがとてもハマっている。
たとえ戦争中だったとしても、後から振り返れば、
人生で一番幸せだった瞬間が、そこにあった。
そう考えるだけで、人間のたくましさを強く感じることができる。

物語もとてもいい。
戦争映画でも、決して暗さはありません。
むしろ、日常的な夫婦や男女の会話の中に、
テンポのいいギャグが次々と織り込まれて笑えます。

貧しいながらも、人々は小さなことに喜びを見いだし、
ともに笑い、努めて明るく、日常を生きぬいていたのです。
悲劇的な場面、戦闘シーンが続く、反戦映画とは全く違う。

それでも、この映画は戦争の哀しみを訴えてきます。
いま、現代の社会から、この物語を振り返ってみれば、
何という下らないことに喜び、そしてケンカになり、
やがていくつもの大切なモノが、次々と失われ、
人々が理不尽な苦しみを受けていたか、よく分かります。

前バラシだからこそ、いまの豊かさを知っているからこそ、
この映画のなかで、戦時下の苦しみ、哀しみは増していく。
彼らが貧しい日常を、明るく楽しく過ごしているからこそ、
戦争はとてつもなく理不尽で、やりきれないものに見えてくる。

この逆説こそが、この映画のテーマであり信念です。
政治家でも、軍人でもなかった、普通の人々にとって、
戦争とは、本当は何であり、どういうふうに見えていたのか。
冒頭にある問いかけに、次第に答えが見えてくる様子は圧巻。

一方で、徹底的に会話シーンだけをつなぎながら、
組み立てられている映画なので、役者は大変だったと思います。
しかし、小林薫を筆頭に、なかなか巧く笑いを拾っていきます。
彼らの明るさがなければ、本作のテーマは成り立たないわけで、
ひとりひとりが重要なのですが、その仕事ぶりはなかなかのもの。

日本の一時代を築いた巨匠の遺作として、遜色のない作品。
本誌はおよそ1年半ぶりに、5つ星をこの映画につけます。
ぜひ映画館に行って、大いに笑って、大いに泣いて頂きたく。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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戦争は、じわじわと人々から奪っていく。
その苦しみは突然、降って湧くものではない。
いきなり本土が、戦地になることは少ないものだ。
戦争がはじまっても、最初は何も変わらないものだろう。

戦争がはじまると、次第に物価が上がっていく。
やがて買えるものがなくなり、毎日の食事も粗末になる。
ある日突然、配給が始まって、食べ物を選べなくなる。

当然、日々の食事に人々は困りはじめる。
やがて、高菜の漬け物にも感動するようになる。
そして、腐りかけのサツマイモでも、我慢して食べる。

昔は、当たり前のようにあったお茶や小豆、砂糖さえ、
宝物のように大事にとっておき、ここぞの場面で食事に出す。
貧しいながらも、人々は意外と、したたかに生きているのだ。

けれども、そのうち戦争は人々の仕事にも介入してくる。
女も働くようになり、夫が徴用され、暮らしは壊れてしまう。
すると、桜の下で電報を待つことが、妻の日課と喜びに変わる。
わずかな休暇に、戻ってくるとなれば、赤飯を炊いて待っている。

そうして、人々は懸命に戦争をやり過ごそうとしている。
戦争に勝とうと負けようと、そんなことは最後まで建前だ。
自分たちを翻弄する、政府と時代の流れのなかで、
彼らは小さな幸せを見つけながら、努めて明るく生きていたのだ。

人間という存在の、何と強く、たくましいことか。
彼らが求める小さな幸せなんて、山盛りのおはぎなんて、
炊きたてのご飯だなんて、いまや当たり前のことばかり。
ところが戦争は、そんな当たり前の幸せを、
1つずつ、1つずつ、人々からむしり取っていったのだ。

しかし、そんな人間の強さと明るささえ、
最後には決して、抗えないような感情がある。
それは愛だ。誰かを愛そうとする優しい心だ。

戦争は、ついにそれさえも奪い取ってしまう。
いままで、すぐそばに、当たり前にいた愛する人が、
突然、自分の下を離れて、帰らぬ人になってしまう。

どんなに強い人々であっても、その哀しみには抗えない。
懸命に明るく、強く生きてきた紙屋悦子でさえも。
歯を食いしばって、愛する人を送り出せたとしても。
もう、彼女の涙を止めることは、決して出来ない。

いったい、どうしてこんなことになってしまったのだ?
人々は後になって、戦争を心底憎んでいただろう。
いつの間にか始まって、じわじわと何もかもを奪っていった戦争。
だからこそ、それは始まる前に、止めなくてはならなかったのだ…。

2006/8/25 岩波ホールにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「DOGORA」…………………………………………

何の映画なのか、タイトルだけでは分からないフランス映画。
カンボジアを舞台に、壮大な音楽を背景に置いた映像叙事詩、
らしいです。監督は何と、ノンフィクションは初めてながら、
「これが撮りたかった!」というパトリス・ルコント。ホント?

で、次回もお楽しみに。次回は月曜の予定。
http://www.albatros-film.com/movie/dogora.html


★今後の予定など………………………………………………………

来週は、ツァイ・ミンリャンの新作「楽日」を観ます。
「Hole」「ふたつの時、ふたりの時間」など、
ヨーロッパ三大映画祭の常連である彼の新作は、
ベルリン銀熊賞「西瓜」の前に撮られた集大成らしいです。

筆者は彼の映画、あまりよく分からないのですが、
この「楽日」と「西瓜」は面白そうなので、観るつもりです。
http://www.tml-movie.jp/rakubi/

さて、田中麗奈とチェン・ボーリンの競演映画「幻遊伝」は、
キャストは楽しそうですが、実際はどうなんでしょう。
人々の噂次第では、観ないかも知れませんが…。
http://www.kadokawa-herald.co.jp/official/genyuden/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.598 2006年8月25日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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