現在公開中の作品一覧(首都圏)

★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年08月11日

メルマガVol.593「ハードキャンディ」★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.593「ハードキャンディ」★      2006.8.7(月)
 ̄                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  【1】STORY
   出逢い系で写真家を誘い出した少女が、彼の家を訪れ、
   巧みに男を誘惑しながら、酒をすすめるうちに…。

  【2】Michelin
   渋谷シネマライズでの単館上映。なぜか混んでいる。

  【3】Review
   トリックなし、真相なし、合理性なし。恐怖だけが残る。

  【4】Column
   美しい真実を残すために、人は自ら死ねるのだろうか。

_________________________________________________Hard Candy

日本の文化は、さまざまな形で海外にも発信されていますが、
援助交際、オヤジ狩りといった事象は、日本特有と言われます。
そのオヤジ狩りにヒントを得た、クライムサスペンスムービー。
サンダンス出品作ということで、アイディアを期待したんですが…。

<オフィシャルサイト>
http://www.hardcandy.jp/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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出逢い系サイトで若い写真家と出逢った14歳の少女。彼女は、
彼の家に押しかけ、巧みに彼を誘惑しながら、酒を勧めてくる。
少女モデルの撮影もしていた彼に、彼女は撮影を迫ってくるが、
次第に彼の意識はもうろうとし、気がつくと彼は縛られていた…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネマライズでの単館上映です。
大方、こういう時間割では14:20と16:40が混みます。
筆者は14:20に行ったら、真ん中はほぼ8割方埋まり、
なかなかけっこうな混み具合でした。週末はもっと混むかな。

ここは全席指定ですから、いい席に座りたい方はお早めに。
スクリーンが視界に収まる列は、J、K列あたりでしょう。
あまり前よりだと、段差が少なくなるので見づらいです。

▼渋谷 シネマライズ
9:40/12:00/14:20/16:40/19:00
※9:40の回は、8/20まで。


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★

<内訳>
テーマ   :★★
ストーリー :
キャスト  :★★
スタッフ  :★★

くだらない。というか、訳が分からない。

若手のアイディア溢れる作品が集うサンダンス映画祭。
そこにサスペンスを出す以上、「SAW」のように、
よっぽど驚くべき要素がないと、注目は浴びません。
というわけで、そんな驚きを求めていたのですが…。

全くありませんでしたねえ。
少女が男を陥れて、無理矢理罪を償わせます。
おしまい。

…おしまい?
何だよ、それ!

この映画には、少女と男以外に人物がほぼいません。
だから、物語はもっぱら、2人のトークだけでつなぎます。
そこで、本当に男が罪を犯していたのかどうかを、
少女が次第に暴き出す、と思って最初は観ているのですが。

どちかというと、次第に真相はそっちのけになり、
最後まで、大した事実は明らかにされません。
真相なし。サスペンスとして、がっかりします。
そもそも、この女の子は何なのだ、いったい?

さらに困ったことに、男の行動は最後まで愚かです。
「そんなことしたら、すぐに反撃されるだろ!」
「そんなことしたって、また失敗するよ!」とか。

最後の最後まで、彼は不可解な行動をとり続けるので、
おかげさまで、映画は都合良く大団円になります。
サスペンスとして大切な、合理性も全くゼロです。
納得感がない。もやもやとしたものが残ります。

この辺の、真相や合理的な説明をさしおいた上で、
この映画は、男に対する「刑罰」に焦点が移って、
彼は、観ていて非常にイターい目に遭わされます。
男性の観客としては、想像するだけで身の毛もよだつ。痛い。

でも、痛いってのは確かに分かりますが、それだけ。
だって、物理的に痛いってことと、心理的な恐怖は別物で、
傑作「レクイエム4ドリーム」や「SAW」のように、
両者が絶妙に合わさってこそ、真の恐怖が生まれるのです。

ただのグロテスクよりも、幸せを夢みていた人々が、
次第に罠に落ちていく恐怖の方が、よっぽど怖い。
狂気に殺されるよりも、自分が狂気に導かれる方が恐ろしいんです。
脱出を試みるあまり、自ら脚を切る方が、脚を切られるよりも怖い。

しかしまあ、なんで夏休みはどの映画もひどいんだろう…。
帰り際、多くの人々の頭に灯っていた疑問符が印象的でした。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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※ 以下は、ネタバレで書きます。
  この映画は、合理的な説明がほとんどなされないので、
  鑑賞後の方は、参考にしてみて下さい。もっとも、
  本誌読者に鑑賞予定の方は、いないと思いますが…。

美しい想い出だけを残して、人は死にたいと思うだろうか。

この映画のラストシーンは、
この思いが、大きな分岐点になっている。
それが理解できないと、この映画は理解できないようだ。

かつて、罪を犯してしまった男がいる。
彼が、本当に小児性愛者だったのかは定かではない。
しかし、彼がある少女の失踪事件に関わっていたのは確かだ。

少女は、その事件の復讐に現れたようだ。
少女は、すべてを知った上で彼を陥れている。
なぜ、彼女が躍起になって証拠を探していたのか、
なぜ、彼女があらかじめ屋上に上っていたのか、
そのあたりは全くの謎だが、少女の目的は復讐なのだろう。

筋道立てて考えれば考えるほど、理解できないが、
おそらく、少女は男が最終的に拘束を逃れ、
彼女に対して、復讐を企てることを知っていた。
それ以外の行動をとる男も多いとは思うが、
少なくとも、今回に限っては彼女の思惑通りになった。

だからこそ、彼女は屋上に罠を仕掛けて待っていた。
すべてを予想した上で、周到に準備していたことになる。
かなり理不尽だが、そういう映画なので、しようがない。

そこで、彼女はあらかじめ電話をかけておいた。
男の元カノが、男の心の傷となっている女が、
必死になって、彼の所に戻ってくるように仕向けた。

これもまた、彼女が来なかったらどうするのかとか、
さまざまな疑問は尽きないが、とにかく彼女は来た。
しかも都合良く、クルマをすっ飛ばして急いできた。

自宅には、失踪した少女に対する犯罪の証拠が転がる。
本当に立証に充分かは知らないが、そうなっている。
そこを元カノが訪れたら、彼は自分の罪と本性を知られてしまう。

そんなことをされるくらいだったら、死んだ方がマシだ。
そして、男は少女に頼むのだ。
「真実を誰にも明かさないでくれ」と。

この期に及んで、この少女をまだ信用する男にも驚くが、
まあともかくとして、この映画は最初の疑問に戻ってくる。
果たして、本当に人は美しい想い出を残すために死を選ぶのか。

殺人の大罪を犯すような、自分に弱い男が、
果たして、誰かの想い出のために死を選ぶのか。
この映画は、最後まで理不尽な疑問が尽きない。

思うに、この映画は肝心の部分で美しすぎるのだ。
愛する人の想い出のために、死を選ぶなんて。

人間はもっと薄汚くて、どろどろした生き物だから、
狂気に導かれ、飛んでもない振る舞いや罪を犯す。
悲しいけれど、そんな事実を描くことこそが物語の役割。
こういう半端な映画を観ると、改めてその罪の深さを思い知る。

2006/8/7 渋谷シネマライズにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「太陽」……………………………………………………

折しも、新しい史料が公開され、注目を集めている昭和天皇。
外国映画といえ、この天皇を「演じる」というのは難役でしょう。
「トニー滝谷」ほか、数々の名作をこなしてきたイッセー尾形が、
予想されるさまざまな困難を引き受け、この映画に挑みました。

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://taiyo-movie.com/


★今後の予定など………………………………………………………

さて、今月はラインナップが少ないですね…。
夏休み映画は先月のうちに出そろってしまい、
客を呼べる大作も多いので、後から争うのは少ないですね。

そのなかで、数少ない話題作については、
大作という意味では「スーパーマンリターンズ」。
人によっては、あの感動を再び、と願っているのでは。

そして、911テロを描いた「ユナイテッド93」、
ブームからジャンルとして築かれるようになった、
自然派ドキュメンタリーとして「狩人と犬、最後の旅」、
この辺が、話題作ということになるでしょう。

「狩人と犬、最後の旅」http://www.kariudo.jp/
「ユナイテッド93」http://www.united93.jp/
「スーパーマンリターンズ」
http://wwws.warnerbros.co.jp/supermanreturns/
「パトリスルコントのDOGORA」
http://www.albatros-film.com/movie/dogora.html
「楽日」http://www.tml-movie.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


★これまでのバックナンバー…………………………………………

バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。

http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)

メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.593 2006年8月7日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 13:51| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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