☆ ★ ☆ 映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。
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Vol.577「プルートで朝食を」★★★★ 2006.6.26(月)
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【1】STORY
神父の隠し子だった少年は、失踪した母親を求めるあまり、
ゲイとなって、やがてロンドンへ母親を捜しに出かける。
【2】Michelin
シネスイッチ銀座での単館上映。週末はほぼ満席状態。
【3】Review
英国版「嫌われ松子」。主演のキリアンが凄まじい!
【4】Column
愛されない子どもたちが、いつかはたどりつく真実の日。
_________________________________________Breakfast on Pluto
「28日後…」の主役でブレイクしたキリアン・マーフィが、
「バットマンビギンズ」の悪役リーアム・ニーソンと再共演。
今回は完璧なゲイに扮して、母を探して三千里の旅に出ます。
監督は「ことのおわり」など、秀作揃いのニール・ジョーダン。
<オフィシャルサイト>
http://www.elephant-picture.jp/pluto/
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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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里子に出された孤児の少年。自分が神父の隠し子だったと知るが、
神父は彼につれない。教会から失踪した母親を求めるあまり、
少年は女装癖を持ち、女性に憧れ、やがてゲイの青年となって、
着の身着のままで、ロンドンへ母親を捜しに行くのだが…。
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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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シネスイッチ銀座での単館上映です。
公開からけっこう経ちましたが、週末の3回目はほぼ満席。
なかなか混んでいるので、要注意です。
レディースデーは確か金曜なので、
平日も金曜は避けた方が無難かも知れません。
筆者は5分前に行って、前から4列目でした…。
▼銀座 シネスイッチ銀座 上映中
10:50/13:35/16:20/19:10〜終21:30
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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★
<内訳>
テーマ :★★★★★
ストーリー :★★★
キャスト :★★★★★
スタッフ :★★★★
かぎりなく星5つに近いと思う。
愛を求める青年の、ファンタジックな物語で、
母親への異常な執着と、キリアン・マーフィの熱演が、
とぎれがちな構成の映画を、最後まで盛り上げる。
とりわけ、地下鉄の駅通路を逆走して、
母親を追いかけていく場面は、この映画の象徴。
テーマと演出、そして主役の演技力が相まって、
単純な場面なのに、何倍もの感動を与えてくれます。
心に深く焼きついてしまう、私の映画史にも残るシーンでした。
物語全体としては、母親を捜すゲイの青年が、
ロンドンでピンボールのように弾かれながらも、
全くへこたれることなく、生きていく物語なわけで、
折しも日本映画の「嫌われ松子の一生」にそっくり。
どちらも悲劇的な物語を、主人公の明るい性格が、
何となくコメディに変えていってしまうわけですが、
ニール・ジョーダンは、その皮肉に最初から気づいている。
「この人を笑いモノにするなんて!」と映画で怒ってみせるから。
これが両者の根底にある決定的な違いであり、
最後には、青年が本当に欲しいモノを見つけるこちらと、
最後まで、着地場所が見あたらずにいる「松子」では、
ラストにいたる印象も、最後に残る余韻も、全く異なります。
別に、ハッピーエンドが常に正解ではありませんが、
哀しみの上に幸せが築かれていく様子を眺める方が、
やはり、人間としては観ていて気持ちも晴れやかなわけで。
深みや抑揚を引っくるめて、この映画はよく描けている。
ただ、1つ問題なのはアイルランド問題。
この映画の舞台は英国よりも北アイルランドで、
監督はもちろん、キャストもほぼ全員がアイルランド人。
だからアイルランド問題は、知ってる前提で映画が進みます。
ですから、この問題についてはあらかじめ知らないと、
いきなり60〜70年代の英国内部事情が描かれても、
半分チンプンカンプンなまま、寝てしまうこともありえます。
ブログに、「乱暴にかいつまんだ説明」を載せますから、
できれば、あらかじめ読んでいらっしゃってください。
面倒かも知れませんが、それだけの価値はある映画だと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/
キリアン・マーフィ…彼はどんな俳優になるんでしょうか。
クリスチャン・ベイルのまさにライバルとなるべき役者です。
正直言って、いまや末恐ろしい俳優の一人、だなあ。
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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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愛を知らずに生まれてくる子どもたち。
彼らは、絶望をどうやって乗り越えるのか。
教会に捨てられていた赤ん坊。
里親に育てられた子ども時代。
父親が神父だったという噂。
どうして父親は、振り向いてくれない?
こんなにそばで、暮らしているのに。
きっと、後ろめたいことがあったんだ。
いなくなってしまった母さん。
あなたなら、私を愛してくれますか。
少年は、母親をこよなく求める。
逢ったこともない、母の姿を胸に思い描き、
自ら唇を塗り、ワンピースを着て、女優のように振る舞う。
そうすればほら、愛する人が、いつも鏡のなかにいるから。
少年は大人になっても、女装をやめることができない。
そうしてついに、彼(女)は母親を捜す旅に出る。
今度こそ、自分を愛してくれる人を見つけ出すのだ。
愛してくれるロックバンドの男も、実は口先だけ。
仕事をくれる手品師の男も、自分のことばかりで、
どれだけ私が傷ついているかに、気づくこともない。
みんな、誰かを愛することよりも殺すことに夢中な時代。
「真剣に」考えれば考えるほど、敵を憎んでいた時代。
英国を憎むカトリック。アイリッシュを拷問する刑事。
私を愛してくれる人は、いったいどこにいるのだろう?
一様に、出口へと向かう人の流れに逆らって、
青年は、幻の母親を乗せた地下鉄の行方を追う。
この時代が見失っていた、自分を愛してくれる誰かを求め。
でも、本当は彼も気づいていたのだ。
たとえ母親と再会しても、彼女は気づかない。
自分が、彼女の息子だと気がつくことはない。
彼女が、自分を愛してくれることはないはずなのに。
それでも、彼女にしか希望を持てない私は、どうすればいい?
ああ、いったい誰が、こんな私を愛してくれるのでしょう?
ファーザー、私の父親はいったいどこにいるのでしょう?
青年の切なる願いに、胸が締めつけられる。
愛を知らずに生まれてきたという子どもは、
本当は、愛されていることを知らないだけ。
だって、父親はこんなにそばでキミを見守っているのだから。
ほんのすこしだけ、何かがすれ違っているだけなのだから。
親子の小さなすれ違いが、家族さえ殺す現代のなかで、
この物語は、この映画の想いは、深く心に刻み込まれるだろう。
2006/6/25 シネスイッチ銀座にて。
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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。
★次回予告「やわらかい生活」………………………………………
日本の単館系映画では、次々と話題作に出演してきた寺島しのぶ。
その演技力が評価され、いまでは連ドラでも親しまれているようで。
今回の映画は、芥川賞作品の映画化で現代の女性を演じるもの。
メンツはトヨエツ、妻夫木聡などで、他にも豪華共演者多数。
で、次回もお楽しみに。
次回はすみませんが、私事により土曜の予定です。
http://www.yawarakai-seikatsu.com/
★今後の予定など………………………………………………………
さて7月は、夏休みを前に超大作映画がいっぱい!
何といっても一番人気は「パイレーツオブカリビアン」の続編。
ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ、
豪華キャストもそのままに、誰もが待っている冒険娯楽大作。
http://www.disney.co.jp/pirates/
あとは誰かがムイミと読んでいた「M:I-3」ですか。
トム君はともかく、悪役ほかが豪華ですからね。
存分にカネも使えば、フツーは面白いと思いますが。
http://www.mi-3.jp/
そして夏休みだけに、アニメ映画が総当たり。
ディズニー、というよりピクサーの「カーズ」、
スタジオジブリは「ゲド戦記」、そしてその辺に、
意地をぶつけたいワーナーが「ブレイブストーリー」。
どれも大人から子どもまで楽しませるアニメを模索してます。
「カーズ」http://www.disney.co.jp/movies/cars/
「ゲド戦記」http://www.ghibli.jp/
「ブレイブストーリー」http://www.bravestory.net/
個人的に期待しているのは、「蛇イチゴ」が面白かった、
新鋭監督、西川美和の新作「ゆれる」なんですけどね。
上記の派手なラインナップでは、地味になってしまうかなあ。
http://www.yureru.com/
というわけで、これからもお楽しみに。
★最新情報はブログにて!!…………………………………………
ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/
※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!
ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。
また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!
★これまでのバックナンバー…………………………………………
バックナンバー、メルマガの紹介や登録関係などについては、
それぞれ以下のページをご参照くださいませ。
http://www.mag2.com/m/0000197069.html(まぐまぐ)
http://www.melma.com/backnumber_33635/(メルマ)
メルマのバックナンバーは、第1号から掲載されています。
ただし検索機能がついておりませんので、
ここ1年については、ブログの方が探しやすいと思います。
http://filmandlife.seesaa.net/(筆者のブログ)
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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
Vol.577 2006年6月26日
発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
(C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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細い体で人の流れに体当たりで走る
地下鉄のシーン、
ほんとに良かったですよねー
今思い出してもじんわり来ます。。
ロンドンの地下鉄駅は、
どこも必ず一つしか出口がなくて、
入口→ホーム→出口という人の流れが、
常に一定に保たれているんですよね。
そこを逆走していく主人公。
そんなことが頭に浮かぶと、
何だか非常に感慨深いのでした。
つい先日、ロンドンに行ってきたので、
何とも懐かしい光景でもありました。
しかし、映画のなかの車両と駅の内装は、
70年代ではありませんでしたね…(笑)。
Ak.
丁寧なレビュー、よまさせていただきました。
読んでいるうちに、また見たくなりました。
しっとりとしたいい映画でしたよね。私も感想を書いたので、TBさせていただきました。