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★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年04月24日

メルマガVol.552「リバティーン」★★★★☆

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.552「リバティーン」★★★★☆    2006.4.18(火)
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  【1】STORY
   英国近世。詩人のロチェスター伯が、大根役者を育てたり、
   自らの放蕩癖で人を傷つけ、破綻していく様子を描く。

  【2】Michelin
   新宿テアトルタイムズスクエアほか。大変に混んでいます。

  【3】Review
   奔放で破滅型の人生と、デップの危険な香りが見事にマッチ。

  【4】Column
   天才は、天才だからこそ、天才として生きられない苦悩がある。

______________________________________________The Libertine

すっかり、オトボケ役が板についてしまったジョニー・デップ。
けれども本作は、「ネバーランド」に続く英国の演劇ものです。
天才詩人を気取った放蕩者の伯爵について、波乱に満ちた後半生を、
デップが渾身の演技で体現します。共演はサマンサ・モートン。

<オフィシャルサイト>
http://www.libertine.jp/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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17世紀英国。国王も嘱望する天才詩人、ロチェスター伯爵は、
酒場で飲んだくれ、女遊びをし、劇場に足繁く通う放蕩者だった。
ある晩、演技力ゼロの新人女優を見初めた彼は、彼女を一流の
役者に育て上げ、一方で自らは破綻の度合いを強めていく…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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新宿テアトルタイムズスクエアでの上映です。
他にもシネコンや渋谷でやっていますが、
新宿はスクリーンの規模が、違いますからね…。

筆者は水曜に行ってしまったので、ほぼ満席でした。
(水曜日はレディースデーで女性1000円のため)
世の中には、かくもデップファンの女性がいるものか…。

水曜以外は、少しは空いているかもしれませんが、
いまでもだいぶ混雑しているのではないでしょうか。
定員入替制ですから、1時間前には受付をしておきたいもの。

▼新宿 テアトルタイムズスクエア 上映中
10:50/13:30/16:10/18:50/21:10 ※21:10の回予告なし

▼豊島園 ユナイテッド・シネマとしまえん 上映中
〜4/21 10:00/16:30/19:00/22:00〜終0:05
※4/22(土)以降の上映時間は直接劇場へお問い合わせ下さい。

▼渋谷 シネセゾン渋谷 上映中
11:30/14:00/16:30/19:00


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★☆

<内訳>
テーマ   :★★★★
ストーリー :★★★
キャスト  :★★★★★
スタッフ  :★★★★

凄いです。予想外でしたが。
ここまで全うで魅力的な映画だとは、
予告編からは想像もつきませんでした。

確かに、キャストは豪華でした。
サマンサ・モートン、ジョン・マルコヴィッチ、
「プライドと偏見」でも姉役で印象に残った、
ロザムンド・パイクなど、なかなか役者は揃ってる。
彼らもきちんと、役割を果たしていてなかなかいい。

でも、何よりもジョニー・デップですね。
この映画は、彼のためにある映画かもしれない。
彼自身が脚本を読んで出演を即決した、
というのは、あながち、ただの宣伝文ではないかも。

英国近世を描く、舞台劇が中心の物語ということで、
この辺りの設定は、「ネバーランド」でちょうど、
デップも吸収したところで、タイミングが良かった。

実際に原作も、舞台劇なんだそうで、
映画でも前口上がきちんと置かれてます。
この冒頭から、デップは何だか危険な香りを漂わせる。
「俺を好きになるな」というセリフの中には既に、
天才とダメ人間が同居している、男の苦悩がかいま見える。

彼は詩人のくせに、徹底的に猥褻な内容を描き、
自分も徹底して欲望のままに生きて、そして死んでいく。
最後に、自らの欲望の果てに、最も欲しかったものに、
気がつくのだが、時すでに遅く、天才の時は終わる。

この内容において、デップは最後まで忠実に、
「欲望」という危険な誘惑を示す男として存在している。
物語は多少、ばらついたところがあるけれども気にならない。

それくらい、デップだけでこの映画は成り立っている。
主人公の名前もジョンで、本名ジョニーと呼ばれる場面も多く、
彼はロチェスター伯爵と、本当に重なっているかのよう。
とりわけ、最後に彼が行う演説の場面は、
仮面をつけても、デップの鬼気迫る様子が見てとれる。

これだけのものを見せられれば、
ラストの口上も、自然にジンとくるというもの。
物語の評価を観客に委ねる、この口上にはやられました。
ほぼ傑作。さらにデップの熱演に☆を1つ追加。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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いま、ロンドンに来ている。
ロンドンの劇場の数は凄い。
レスタースクエアを中心に、いくつあるのか分からない。

しかも、どの劇場を観ても、趣がある。
建て替えられ、建て増しされたりしていても、
きっと昔からあったに違いない、名前と外観。
江戸時代、演劇小屋を制限したりしなかったなら、
日本もこれだけの劇場が次々と残っただろうか。

その江戸時代の頃、英国では遊び好きの国王が、
治世をほったらかしにして、遊んでいたという。
ロチェスター伯は、そんな国王の治世をバカにしつつ、
一方で自分も、思う存分に奔放な生活を繰り返していた。

遊ぶ金を確保するためもあり、
金持ちの一人娘を、力ずくで手に入れた。
他の詩人や作家のパトロンとなって、
要は遊び仲間を手に入れ、毎晩飲み歩いた。

劇場に行けば、女優と寝ることもできた。
もちろん、娼婦と遊ぶこともできた。
けれども、彼は酒よりも、女よりも、
演劇という非日常の世界への飛躍を愛していた。

若い頃から、天才と呼ばれた自らの宿命。
彼はその重圧から、逃れたかったのだろうか。
それとも、人間としての欲望に忠実に、
食欲や性欲だけを、真剣に追いもとめていたのか。

一方で、欲望のままに生きる国王の治世を、
徹底的に猥褻なものとして、風刺しながら、
自らもその饗宴のさなかに、飛び込んでいった男。
その矛盾を知っていながら、止められない自分の弱さ。

天才にして、天才として生きられない男の苦悩。
その苦悩を解き放つために、彼は演劇を学び、
この世界を何も知らない新人女優に、すべてを教えた。

すべてを教えると、彼女は一流女優になった。
しかしその瞬間、ひょっとしたら、
ロチェスター伯のなかで、演劇という非日常は、
終わりを告げてしまったのかも知れない。

いよいよ逃げられなくなった天才。
身体は蝕まれ、凡才が才能を花開き、
自分だけが、ダメ人間のまま取り残される。

それでも、彼を看取ってくれる女たちがいる。
それでも、彼に味方する人々がいてくれる。
病床で彼は、何を思い、何を考えたのか。
国王のために、自ら演説に思い立った彼は、誰だったのか?

天才にして、天才に生きられなかった男。
彼が最後まで望んでいたのは、天才ではない、
一方にある弱い自分を愛してくれる人々だったのだろうか。
そんな人たちは、最初から彼のそばにいたのに。
それでも彼を、好きになった人たちはたくさんいたのに。
彼の弱さと、その奔放さを、誰もが最初から愛していたのに。

2006/4/12 新宿テアトルタイムズスクエアにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「君とボクの虹色の世界」………………………………

映画監督というより、アーティストであるミランダ・ジュライ。
彼女が監督、脚本、主演もこなして、素朴なアメリカの日常に、
子どもたちの性的な悩みや、大人たちの恋の悩みを重ねていく。
カンヌ他、各国の映画祭で新人監督賞を総なめですが、内容は。

で、次回もお楽しみに。次回は金曜の予定。
http://www.kimiboku.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

来週は以下の3本を予定。
テレンス・マリック、ウォシャオスキー兄弟、
そしてフランソワ・オゾンとそうそうたる面々が、
顔を揃えた豪華な1週間になりそう。

「ニューワールド」
http://www.thenewworld.jp/
「Vフォーヴェンデッタ」
http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/
「ぼくを葬る」
http://www.bokuoku.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


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【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.552 2006年4月18日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 15:02| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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