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★★★★☆「つぐない」
 ★★★★「4ヶ月、3週と2日」
 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年04月15日

メルマガVol.551「立喰師列伝」★☆

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.551「立喰師列伝」★☆        2006.4.14(金)
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  【1】STORY
   「食い逃げのプロ」たちの、仕事内容を題材にしながら、
   その方法の変化を、昭和史に重ね合わせて論じていく。

  【2】Michelin
   渋谷シネクイントでの単館上映。それなりの入り。

  【3】Review
   サブカル論文の2時間にわたる朗読会。客を選ぶ内容だ。

  【4】Column
   時代は、身の回りから、いつのまにか変わってしまっている。

_________________________________________たちぐいしれつでん

前作「イノセンス」ではカンヌにも進出したオタク界の巨匠、
押井守監督。しかしその新作は、戦後の食い逃げのプロたち、
「立喰師」をテーマにした異色作。世間の評価を冷笑するように、
奔放な語り口で、ごく一部にしか分からない笑いを振りまきます。

<オフィシャルサイト>
http://www.tachiguishi.com/

※ おことわり
来週まで、筆者は個人的事情で海外(ロンドン)におります。
ネット接続環境を手配する事情から、
配信が遅れる可能性がありますが、ご容赦のほどを。

なお、紀行文を随時ブログ掲載する予定なので、お楽しみに。
http://filmandlife.seesaa.net/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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終戦以降、大学闘争、大阪万博、ファーストフードの蔓延など、
昭和の社会変遷とも重なるようにして、無銭飲食の形も変わった。
この視点から、それぞれの時代に代表的な食い逃げのプロ、
「立喰師」を個別に取り上げるという、オフビートなアニメ。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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渋谷シネクイントでの単館上映です。
まあ、封切直後ですし、それなりに人は入っています。
かなり予告編はオフビートで面白かったですから。
でも、それだけを求めて行った人だったのか、
やっぱり何名かは途中で退席されてしまいました…。

▼渋谷 シネクイント 4/8(土)より
12:00/14:00/16:10/18:20/20:30〜終22:30 ※12:00の回予告なし


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★☆

<内訳>
テーマ   :★★★
ストーリー :
キャスト  :★★★
スタッフ  :★★

本作の特徴が奈辺にあるかと問えば、
それは本作の作り手である監督、押井守による、
その独特の視座にこそ、あると言えよう。

本作において押井は、昭和という自らの生存した、
いかようにしても逃げがたい「時代」という枠組みを、
成功者として一段落がついた現時点から再構築し、
斯くあるなかに、自らの「人生」の居場所を探求するという、
ともすればそれは哲学的、社会学的でもあるものの、
ややもすれば自らの独白的、モノローグに終わるような、
徹底的な自己実現の手段として、本作を製作しているように見える。

これは、元来映画というものが持つべき娯楽性、
観客を前提にした双方向的なエンターテイメントとしてのあり方を、
根本から覆す、というよりは無視した手法となっており、
一遍の時代を無銭飲食という観点から振り返るという、
頓狂な視点のみが突出はしても、結局は自己中心的で、
観客を元から排除し、賞賛できる者だけが観ればよい、
という唯我独尊を自称する作品だというように言ってもよい。

そのため、物語というものは根本的には存在せず、
ところが、押井の自己実現に向けて論理性は求められ、
一方で映像的美学といった演出部分は最低限に留められることで、
最終的な作品形態として、長編の学術的論文、もしくは、
それを模倣した長文を、2時間弱にわたり滔滔と読み上げ、
大きな結論も盛り上がりもないまま、作品が完結するという、
きわめて特異で、無理で、かつ自由な内容が成立するに至ったのである…。


…くどい!!!
くどいですね。
いくつ「。(読点)」がありましたか?
3つですよ、たったの3つ!

でもね、この映画は、こんな文章が主役なんです。
こういう、わざわざ難解にした文章を、
本当に2時間近くも、ずっと読むだけなんです。

さながら、これは学術論文の朗読会。
そんなもの、あるわけがありません。
でも、それをやってしまったのがこの映画。

映像はあくまで、その論文を補足する挿絵、紙芝居であり、
だからこそ、写真と音楽の組み合わせだけで充分でした。

確かに、昭和史を立ち食いの観点から振り返る、
っていうのは斬新なんですが…それについて、
分かりやすく説明する意志なんて、微塵もありません。

でも押井は、それを分かっていてやってるんですから。
そして、彼の考えてることが分かる人には、それなりに、
「ああ、なるほど」と、寒い笑いが起きる部分も多々あって。

もうこうなれば、彼を止めることなんてできません。
いいじゃない。分かる人だけ分かれば。
分からない人は、観なければいいんです。そういう映画。

しっかし、ナレーションの山寺さんはビビッたでしょう…。
彼、ナレーションというより、この映画の主役ですから。
難解な熟語だらけの文章を、すらすら読むんですから。
2時間弱。ずーっとですよ!!ずーっと。すごいです。
ここは、彼の努力に敬意を表して、☆をつけます。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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「時代は変わったな」
そんな瞬間は、どこにでも存在する。
それは、毎日の生活の中にあふれているのに、
人々はあまりにも普通すぎて、気づかないだけである。

たとえば身近な例として、長電話にも変化がある。
かつて、一家に一台しか電話がない時代があった。
そのため、兄弟姉妹が年頃にもなれば、
たった1台の電話を、誰もが奪い合ったものだった。

また、当時は電話をかける側にとっても、
「誰が出るか分からない番号に電話をかける」という、
いまでは考えられないスリル(?)があったので、
「親が出たときの対応」「姉妹が出たときの対応」など、
いろいろと策を練ってから(?)、電話をかけたりもした。
(いまでも会社に病欠の電話を入れる時、同じ状況になるだろう!)

それが、やがてポケベルが登場し、流れは変わる。
家でなくても、好きな相手を捕まえることができる。
誰にも邪魔されず、メッセージを相手に送れる。

この「どこでも」「誰にでも」の流れが加速し、
ケータイ電話が登場し、Eメイルが普及して、
「一家に一台」が、「一人に一台」に変わってきた。

誰もが、身近に起きていることだが、
誰もが、そんな変化を、意識せずに受け止めている。
そこに視点をおき、もう一度よく考えてみると、
「時代は変わったな」と思うことが、よくあるのだ。

たとえば、ケータイ電話の普及による時代の流れで、
コミュニケイションは変わり、家族の関係も変わった。
子どものコミュニケイションに、親は一切立ち入れない。
そして、人々は待ち合わせにいいかげんになったり、
着信拒否や番号リセットなど、「関係を切る」方法も生まれた。

そんな風に、自分の身の回りにある「時代の変化」。
それを、押井守が探したときに見つけたモノ。
それこそが「立喰師」、無銭飲食の世界だったのだろう。

場末の立喰食堂で、食事をすることが多かった人間には、
きっとこのような状況が、日常茶飯事だったに違いない。
行く場所それぞれに、今日も食い逃げの手段を考える、
不思議な人物たちがたむろし、機会を窺っていたのだろう。

そんな彼らのやり方が、次第に変化していったとき。
「時代は変わったな」と、人は思うのである。
そしてこのセリフには、ある種の感慨とともに、
いつも、自分の人生に対する疑問があるのだと思う。
「しかし一方で、自分は変われただろうか」と。

2006/4/11 渋谷シネクイントにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「リバティーン」…………………………………………

すっかり、オトボケ役が板についてしまったジョニー・デップ。
けれども本作は、「ネバーランド」に続く英国の演劇ものです。
色魔にして天才詩人を気取った伯爵の、波乱に満ちた後半生を、
デップが渾身の演技で体現します。共演はサマンサ・モートン。

で、次回もお楽しみに。次回は火曜(日本時間)の予定。
http://www.libertine.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

来週のもう1本は、「君とボクの虹色の世界」。
アメリカの、芸術系を地でゆく女流監督による、
素朴な日常ヒューマンドラマの群像劇らしいです。
この映画は、カンヌのカメラドールを受賞したらしい。
http://www.kimiboku.jp/


再来週22日からは以下の3本。
テレンス・マリック、ウォシャオスキー兄弟、
そしてフランソワ・オゾンとそうそうたる面々が、
顔を揃えた豪華な1週間になりそう。

「ニューワールド」
http://www.thenewworld.jp/
「Vフォーヴェンデッタ」
http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/
「ぼくを葬る」
http://www.bokuoku.jp/

というわけで、これからもお楽しみに。


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.551 2006年4月14日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 03:16| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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