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★★★★☆「つぐない」
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 ★★★★「マイブルーベリーナイツ」
 ★★★☆「モンテーニュ通りのカフェ」
 ★★★☆「マンデラの名もなき看守」
 ★★★☆「愛おしき隣人」
  ★★★「ブレス」
  ★★★「ノーカントリー」
  ★★★「ランジェ公爵夫人」
  ★★★「王妃の紋章」
  ★★★「フィクサー」
  ★★☆「I'm not there.」
  ★★☆「There Will Be Blood」
  ★★☆「ミスト」
   ★★「チャーリーウィルソンズウォー」

今後は「インディジョーンズ」「JUNO」「イースタンプロミス」ほか

2006年02月07日

メルマガVol.525「白バラの祈り」★★★★

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☆ ★ ☆  映画のなかの人生、映画のような人生。 ★ ☆ ★
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【映画とは、人生を2時間で切りとるもの】
映画が魅せる、人間のやさしさ、弱さ、強さを、いっそう鮮烈に、
そしてもっと映画を観たくなる、ひと味違うメールマガジン。


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  Vol.525「白バラの祈り」★★★★     2006.2.6(月)
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  【1】STORY
   反ナチ闘争の学生たちが、ビラ配布をきっかけに逮捕され、
   主要メンバーの女学生は巧みな弁舌で、権力に果敢に挑む。

  【2】Michelin
   日比谷シャンテシネでの単館上映。かなり混んでいます。

  【3】Review
   殉教者として、闘い、疲れ、奮い立つ主人公の姿が印象的。

  【4】Column
   真実のために死ぬ。自分には、そんなことができるだろうか。

____________________________Sophie SCHOLL- Die Letzten Tage

ドイツではこの頃、ナチ政権の再評価が続いているようです。
この映画では、国民の圧倒的支持、戦争と虐殺への暴走、
そんなヒトラーを人々がどう受け止めていたのかを明らかに。
母国ベルリン映画祭では、最優秀女優賞の受賞作に。

<オフィシャルサイト>
http://www.shirobaranoinori.com/


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┃1┃ STORY (観ていないあなたへ)
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反ナチ闘争を続ける学生組織。大学でのビラ配布をきっかけに、
3人が逮捕される。兄とともに逮捕された女学生は、弁舌巧みに
取調官に応じるが、次第に真実が明らかにされ、追いつめられ、
それでも彼女は自らの信念を、決して曲げようとしない…。


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┃2┃ 上映館ミシュラン (観ていないあなたへ)
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都内では、日比谷シャンテシネでの単館上映です。
意外なことに、硬い内容の割に、けっこう混んでます。
これはクリスチャンの人々が集まったのかな…。
週末はお早めにお越しくださいませ。全席指定ですから。

▼日比谷 シャンテ シネ 上映中
10:15/12:55/15:40/18:25〜終20:40

▼関内 横浜シネマリン 上映中
11:30/13:45/16:00/18:15〜終20:20

▼千葉 京成ローザ(10) 2/4(土)より
〜2/10 10:20/12:45/15:10/17:35/20:00〜終22:10


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┃3┃ Review (観ていないあなたへ)
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【ポイント】★★★★

<内訳>
テーマ   :★★★★★
ストーリー :★★★
キャスト  :★★★★
スタッフ  :★★★

これは、キリスト教的世界観の物語ですねえ。
最後に取調官が、わざわざ水で手を洗ってますから。

祖国のために、戦場での真実やホロコーストを訴える女学生。
しかし社会は彼女に耳を傾けることなく、彼女を裁く。

しかし彼女は、神に背かず、自らにも背かない。
最後まで真実を訴え、命乞いをすることなく死んでいく。
その姿はまさに、第三帝国の終末に現れたメシアです。

一方、この映画では、決して彼女だけではなく、
ナチ政権下のドイツ国民が、どのような想いで、
この政府を見つめ、どんな態度を示していたかも描かれます。

いちばんよくあるパターンだったのが、取調官でしょう。
真実を訴える彼女に対して、取調官の姿勢はあえて対極的で、
ナチ党員、ゲシュタポとして、政府をとにかく信用している。

けれども、彼はヒトラーを盲目的に信仰していたワケでもない。
ナチ政権は、ヴェルサイユ条約後の絶望を払拭した。
彼のような小市民でも、党員を、故郷ミュンヘンを尊重した。
だから党員は増え、彼らが最後までナチを支えたのです。

ナチのおかげで、彼らは絶望から救われたことがあった。
たとえ、政策理念は無茶苦茶で、人種差別的で、
間違った戦争を行い、虐殺をしていたとしても!

だから取調官は、意外にもこの映画で最も人間的です。
ピラトがイエスを裁くのをためらった姿と重ねられ、
なぜ女学生が命を賭けてまで真実を訴えるのか、理解できない。

一方で彼女は、最後まで信仰を捨てることなく、
友のために死刑となり、永遠に愛される殉教者となる。
公開裁判で罪状をまくし立てる裁判官は、まるでヒトラー。

そして、その裁判で「質問はありません」と首を振る弁護人。
傍観する傍聴人たち。彼らこそが、時代の多数派でもあった。
この場面はヒトラー政権の構図の写し絵になっていて、
監督が実に、歴史的理解を精密に映像化しようとしたかがよく分かる。

さらにまた、ここまでの過程を、この映画は一気に魅せる。
2時間は長いと思ったが、女学生、取調官、裁判官と、
それぞれの立場が明確な人々が葛藤を繰り返し、息をつかせない。
エンターテイメントとしても成功しているのがすごいですねえ。

しかし観客は、彼女が死ぬと分かってみているわけで…。
彼女がどんどん裁かれていく様子には、憤りを覚えると同時に、
何となくマゾヒスティックな映画のような錯覚も受けます。

心臓の弱い人は、あまり観ない方がいいんじゃないでしょうか。
真実の美しさより、人間の無力も思い知る、息苦しさが残りました。
そして私の祖国では、戦場の兵士たちは描いても、
戦争に反対した人々の、こんな映画は撮れないだろうとも…。


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┃4┃ Column (観おわったあなたへ)
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政府がある日、戦争を始めたら。
1人の人間は、どうやってそれを食い止められるのか。

最後まで食い下がる女学生、ゾフィー。
最初は巧みな弁舌で、取調官の尋問をかわしながら、
罪を認めれば一転、真実を訴えて取調官を逆に追いつめる。

東部戦線の惨状、ナチの徹底した人種差別、
ホロコーストに巻き込まれたユダヤ人、精神病患者、障害者!
それらを政権はひた隠しにして、ドイツ人を戦地へ送り、
命を無駄にし、祖国を狂乱と崩壊の悪夢へと導いている!

けれども、彼女は哀れな一頭の子羊でもある。
屠殺場の断頭台に向かって、社会は彼女を追いつめる。
それを知っているから、取調官は彼女を哀れんでさえいる。

彼女はこんなに本気で、真実を訴えているのに!
多数派が、決して正しいわけではないのに!
ゾフィー・ショル、彼女には泣きたいときもあっただろう。
自分を理解してほしい、そして祖国を救いたいと思ったろう。

けれども彼女は、決して人前では涙は見せなかった。
誰かに弱みを見せたら、自分が壊れてしまいそうだった。
本当は助かりたい。命乞いもしたい。なぜこの若さで死刑に?

彼女は、そんな理不尽を噛みしめて独房にいた。
それでも、彼女は自分自身を裏切ることはできなかった。
真実をねじ曲げ、自分をねじ曲げ、神に背を向けられなかった。

自分を曲げて生きるより、彼女は信念とともに死ぬと誓った。
身勝手な裁判では裁判官が、彼らの信念を敗北主義とはねつけ、
これ見よがしに罪状を押しつけ、死刑を与え、
猶予も与えず、彼らを瞬く間に処刑してしまった。

99頭の羊をさしおいてまで、彼女を救う人は現れなかった。
彼女はこの社会の、真実に目を背ける社会の、
目の前の罪を断罪できない社会の罪を、一身に背負った。

果たして彼女のように、自分はできるだろうか。
この国が戦争を始めたら、自分に何ができるのか。
政府は正当化するだろう。大半は追随するだろう。
反対する者は非国民と呼ばれ、連行されるだろう。

自分は、どれになるのか。
追随する取調官か。盲目的に政府を信じる裁判官か。
いや、何も言わぬ法曹や傍聴人になってしまうのか。

胸に手を当てて、じっと考えてみた。
この国が戦争を起こしたら、何ができるのか。
彼女の刑場での死と、人々の戦場での死に、
果たしてどんな違いが、存在するのかを。

2006/2/6 日比谷シャンテシネにて。


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┃5┃ 次回予告 ほか
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その他、筆者からのお知らせなどなど。


★次回予告「ミュンヘン」……………………………………………

せっかくなので、ミュンヘンつながりでこの映画を次回に。
とはいえ、こちらはスピルバーグ監督作。彼がドイツを舞台に、
といえば当然「シンドラーのリスト」を思い出しますが、
今回も五輪を舞台にした、暴力と抵抗の物語、らしい。

で、次回もお楽しみに。次回は水曜の予定。
http://munich.jp/


★今後の予定など………………………………………………………

今週は、いろいろと考えてみた結果、
「ギミーヘブン」と「単騎、千里を走る」を観ます。
前者は安藤政信、宮崎あおいらのサスペンス劇らしい。
後者はチャン・イーモウが高倉健を登用した話題作。

・「ギミーヘブン」http://gimmy-heaven.com/
・「単騎、千里を走る。」http://www.tanki-senri.com/

来週以降も、だいぶ話題作が出てきます。
なかでも話題なのは、「クラッシュ」。
「ミリオンダラーベイビー」の脚本家が監督し、
オスカーにも主要部門にノミネートを連ねた大本命。

対抗馬と目されているのは「ウォークザライン」。
音楽映画ですが、ホアキンフェニックスと、
リースウィザースプーンが対立しながらも、
見事なコンビを見せる音楽デュオを熱演するらしい。

その他、チェン・カイコーによる大作「PROMISE」とか、
個人的には小さな「転がれ!たま子」を応援したい。
まだ観てないので何とも言えませんが。
今後ともお楽しみに。

・「クラッシュ」http://www.crash-movie.jp/
・「ウォークザライン」http://www.foxjapan.com/movies/walktheline/
・「転がれ!たま子」http://www.tamako-movie.com/
・「オリバーツイスト」http://www.olivertwist.jp/
・「ジャーヘッド」http://www.jarhead.jp/top2.html
・「PROMISE」http://wwws.warnerbros.co.jp/promisemovie/


★最新情報はブログにて!!…………………………………………

ブログには過去掲載作などがまとめて載っています。
http://filmandlife.seesaa.net/

※ 実はケータイからも同じアドレスでみられます。要Check!

ブログなら、かしこまったメールをすることもなく、
小さなコメントや、筆者へのリクエストを書き込めます。

また、筆者が映画を見終わった直後の感想や、休刊情報、
映画とは全く関係ない筆者の近況まで、いろいろ掲載中。
ぜひぜひアクセスしてください!!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【映画のなかの人生、映画のような人生。】
 Vol.525 2006年2月6日
 発行者:Ak. http://filmandlife.seesaa.net/
 (C)2001-2006 Ak. All rights reserved.
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posted by Ak. at 00:29| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々
Excerpt: 体の芯が、カァーッと熱くなる瞬間が何度もありました。 涙よりも、ナチスに対する怒りのほうがこみ上げてきて、気づいたら拳を握り締めていました。 特に、悪名高き裁判官、フライスラーは、もう、大っ嫌いで..
Weblog: 映画で綴る鑑賞ノート
Tracked: 2006-02-07 15:48

映画 『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』 マルク・ローテムント
Excerpt: 「ドイツ映画祭2005」で本作と『ヒトラー最期の12日間』が上映されたとき、舞台挨拶で『ヒトラー』のヒルシュビーゲル監督が、「この2作は対照的な内容です。そして、その両方を見て歴史のヴィジョンを..
Weblog: ~Aufzeichnungen aus dem Reich~ 帝国見聞録
Tracked: 2006-02-08 00:39
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